「あかり、今日一緒に……」
「ごめんね佐伯くん! 今日、用事があってダメなの!」
「………………」





パリーン!
「あっ、申し訳ありません!」

「……今日はもう3度目かぁ」
「ああ。たるんどるなあ」
「おや、あまり怒らないんだね、総さん」
「対策をしてるからね」
「対策?」
「今日はこっちの棚の食器を使うように言ってるんだ」
「こっちの棚? あれ、そういえば、普段と食器が違う。何と言うか……」
「こっちは割っても良い用の棚ってことさ」
「はあ」
「便利な世の中だね。これなんか10個セットで100円だったよ」
「ああ、例の100円で皆そろうという……」
「100円でも物は物だ。あんまり割られるのも困り者だが、こればかりは仕方ないね」
「成程? ……しかし、どうしちゃったんだろうねえ、瑛くんは」
「早くお嬢さんと仲直りしてくれると良いんだが」
「おや、そういう悩みなのかい?」
「あいつが悩んでこんなことになるのはお嬢さん絡みのときだけさ」
「はあ、春だねえ」
「はっは、随分のんびりした春だ」

ガシャーン!
「も、申し訳ありません……!」

「……やれやれ」


◎ガラスのハート
(……あいつ、速攻で帰りやがった)
(誕生日当日舞台裏)
(当日なのに、昼休みの呼び出しもなく、放課後速攻で帰られてショック中の佐伯さん、とか)





「っあーーーー!」
「ど、どうしたの、西本さん!?」
「あかん、忘れとった……!」
「えっと、何を?」
「あたし、明日から一週間補習やった……!」
「……あっ!」
「ゴメンな、あかり……ホント、力になってやりたかったんやけど……」
「ううん、仕方ないよ」
「……でも、何とかならんかな? 若ちゃんなら……そうや!」
「?」
「あたし、動物園のタダ券持ってるんや。わんにゃんランドで若ちゃんを釣ろう!」
「ば、買収はいけないよ、西本さん……!」
「いーや、この際、手段は選ばへんで! 若ちゃん、待っててや!」
「に、西本さん、待って……!」


◎忘れてた
(一話直後の会話)
(補習期間忘れてた)




「若ちゃーん!」
「おや、西本さん、どうかされました?」
「あのな、若ちゃん、わんにゃんランドって知ってる?」
「わんにゃん……確か、動物園の中にあるという、素敵な場所のことですよね?」
「そうそう、犬と猫と触れあい放題! 行ったことあります?」
「残念ながら、無いんです……課外授業のカリキュラムに含まれていなくて……」
「そうなんやね。ところで物は相談なんやけど……」
「はいはい」
「あたし、動物園の一日フリーパス券を持ってるんです。それで……」
「それで?」
「西本さん早まっちゃ、ダメぇぇぇ!」
「ややっ、海野さん?」
「止めんといて、あかり! 手段は選ばれへんのや……!」
「?? な、何事ですか?」
「若王子先生、実はかくかくしかじかなんです」
「ああもう、バラしたらあかんのに〜」
「なるほど、分かりました……そういうことなら、仕方ありませんね」
「えっ?」
「へっ?」
「西本さん、どうかお友達を助けてあげて下さい」
「わ、若ちゃん、じゃあ……」
「ただし、補習は来週に、ということなんですか」
「ううん、十分嬉しい! ありがとう若ちゃん……!」
「いいえ。ただし、教頭先生には秘密にしておいて下さいね。先生、こってり絞られちゃいます」
「分かった! あ、そうや、お礼に動物園のタダ券、若ちゃんにあげるな?」
「……………………それは、受け取れません」
「若ちゃん、そんな切ない顔で断らんでも……」
「教頭先生から強く言われているんです……」


◎プレゼント厳禁
(今度みんなで動物園行こうな?)
(志波くんも一緒に行けばモフり放題)







(続く)(かも?)

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