十五夜のバカップルさん
「お疲れ様でしたー」
「お疲れ。送ってくから、ちょっと待ってろ」
「うん!」
・
・
・
「わあ! 佐伯くん、満月だよ、満月!」
「だから、はしゃぐなって。こけんなよ? ボンヤリ」
「もう! 子供扱いしないでよ」
「はいはい、足元気をつけろよ、お子様」
「もう! ……それにしても、明るいね」
「満月だからだろ」
「晴れてよかったよね。雲に隠れなくてよかった」
「まあな」
「でも、星が全然見えないね」
「月が明るすぎるせいだろ」
「あっ、そっか。そうだね」
「……ボンヤリ」
「違います。ちょっと、うっかりしてただけですー」
「どうだか」
「……あっ!」
「何だよ。いきなりデカイ声出すなよ」
「佐伯くん、ほら、足元見て! 足元!」
「足元?」
「ほら、影が出来てる!」
「影? ……ホントだ。月が明るいせいだよな、これ」
「そうだね。わあ、何だか不思議な感じ」
「だな」
「今日、佐伯くんと一緒に帰れてよかった」
「……何で?」
「だって、ほら、一緒にお月見してるみたい」
「お供えも何も無しだけどな」
「そうだけど……こうして並んで見上げてるだけでも、お月見気分だよ」
「まあな。そうかもな」
「そうだよ」
「……なあ」
「なあに?」
「月、綺麗だよな?」
「? うん、綺麗だね」
「……うん」
「佐伯くん?」
「何でもない。そんだけ」
「?」
2011.09.14
*月の綺麗な夜だから、あなたとお話しながら帰りたい。
*十五夜とっくに過ぎてしまいましたがー;;
*月が綺麗、と言えば某文豪の夏目先生の有名なお言葉ですよね、というお話。i love youの訳仕方云々という、例のアレですむにゃむにゃ……。秀才頑張り屋さんな佐伯さんが耳学問かなんかで知っていたら、素敵だなーと思ったり。いやでも、佐伯くんだと、らしくないかなーと思ったり(氷上くん、お玉さん辺りならあり得るかなあと思ったり)。とととというかね、コレ一体n番煎じなんだと……(以下略)
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