───……ああ、なんて平和なんだ。

平和なのは良いことだ。
争い事も何もない。
しかし、


「暇だ」


思わず声に出してしまうほどジタン・トライバルは暇だった。
もしかすると本人は声に出てしまっていることに気づいていないかもしれないが、彼しかいないこの部屋では関係のないことだ。
考えればきっとやるべきことが浮かぶのだろう。
しかし考える気にもなれない。


「……バッツんとこ行こう」


ろくに考えもせずそういう結論に至った。
直後にさっさとベッドから降りて部屋を出る。

どうせ彼も暇なのだろう。
もしかしたらとっくに誰かと何かしてるかもしれないが、きっと割り込めるレベルのことだ。
そう勝手に決めつけながら廊下を早足で歩いていた。

そして彼の部屋の前。
念のため、ノックをしようと軽く握った手を挙げたときだった。


「やぁ、だめっ」


それが女性の声であるのは明瞭だった。
仲間に女性は一人しかいないし、あの透明な声は記憶に残りやすいもんだからすぐに誰だか見当がつく。

───バッツの部屋にティナが居るのか?
しかし今の声は何だか禁断の空気というかなんというか。


「んん…バッツの意地悪…」

「まだまだ、こんなもんじゃないぜ?」

「え?そんな、駄目っああぁっ!?」


今度は男の声も混ざって。
それ以降も声は続いた。
軽く握った手はすんでの所で止まったままである。
冷や汗のお陰なのか、廊下の窓から吹く生ぬるい風ですら寒さを感じた。

───いやいやいやいや、ちょっと待て、まさかこれは男女の営みに励んでるわけじゃあないだろうな。しかも夕飯まだだし!昼下がりになんてお盛んなんだこの人たちは!?しかし純情な二人がそんなことするとは思えないし、まずそういう仲になること自体予想外すぎるし、そりゃあ最近一緒にいるなぁとは思ってたけどそれにしたっていきなりすぎるというか。でも一応、二十歳と十八歳だしちょうど盛り時だし、そう考えるとなんか悔しいけど納得してしまいそうな気もしなくもないような。


頭の中で色々と張り巡らし、自身で訳がわからなくなる。
だが、そんな彼の不安も次の言葉で一気に吹き飛ぶことになるのだが。


「よっしゃあああぁぁぁぁ!!!!連載きたああああぁぁぁ!!!!!」

「ひどーい!!やっと邪魔ぷよ消したのにぃー!!!」













「………てことがあってさぁ。あ、色は黄色で」

「ぷよぷよがR指定になるとかパネェッスね!いいなぁオレも聞きたかったッスよー。黄色は…あった。」

「つーかどんなきっかけでぷよぷよやることになったんだよ。女の子には手加減しろよ」

「ハンデがついてるんじゃないか?……すまない、ドロー4しかない」

「なんだよスコール、オレへの当て付けか!?」

「とか言ってジタンもドロー4出してんじゃないッスかあぁ!!」

「持ってないお前が悪い!」

「あー、オレ上がれない気がしてきたッス」

「ところで、なぁーんでスコールはさっきから赤面してるんだよ?」

「!?いや、その…何でもな」

「何でもないわけないだろ!ひょっとするとバッツとティナがラブラブランデブーなきっと有り得ないことだろうとオレが信じたいイヤーンな光景を想像したんだな!?」

「………」

「図星?意外とむっつり?」

「スコールって分かりやすいッスね」

「……ウノ」

「マジかよ!?」

「うわーこのままじゃ負ける!罰ゲームってマジでやるッスか?」

「当たり前だろ!オレは何としてでも上がってやる」

「罰ゲームなんてそんな話は聞いてないが」

「ああ、そういえばその時スコールは居なかったな」

「スコール呼ぶ前に決めてたんスよ」

「…あがり」

「ちくしょう結局あがるんじゃねぇか!」

「そういえば何でぷよぷよやってたんスかね」

「携帯に内蔵されてるやつじゃないか?」

「ド○モの横開きするタイプのにはあるんだっけか」

















* * *


ノリだよノリで書いたんだよ。

前サイトのを一部修正したものです。
実は前とタイトル変えていたりする。







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