2017.04.01

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「ねえ犬夜叉、私あんたのこと嫌いになった」
「な゙…!?」


“すまほ”とかいうやつを見た途端、気が付いたように言ってくる。
その表情は真顔で、ウソとも誠ともとれる判断のしにくいものだ。

でも待て。
そんな急に嫌いになったって、きっぱりはっきり言われるようなことしたか!?
おれが茫然としながらも焦りを見せてれば、こいつは小さく吹き出して途端に笑い始めた。


「ごめん犬夜叉、ウソだよウソ!4月1日の今日はね、現代じゃエイプリルフールって言って『ウソをついてもいい日』なのっ」
「えっ、えいぷりるふーる…?」


聞きなれない単語とウソでよかったという安心感で変な顔をしてしまう。
それがさらにおかしいのか、涙を浮かべるぐらいひとしきり笑うと大きく深呼吸を繰り返し始め、涙を拭いながら笑いかけてくる。


「やっぱり犬夜叉なら騙されると思った〜、ふふっ」
「てめえっ!」
「あーっ怒らないで犬夜叉!まだ続きがあるの!」
「続きだあ?なんだよ、続きって」


むすっとした顔で見てやれば、やけに楽しそうに笑顔を浮かべたまま向き直ってきた。
な、なんだ。じっと見てきやがって…。
ほんの少しドギマギしていると、急に頬を赤らめながら微笑みを浮かべてくる。


「この日ついたウソはね、1年間現実にならないっていううわさがあるんだよ」
「…ってことは…」
「私はこの先1年間、犬夜叉のこと嫌いにならないってこと」


陽だまりのような笑顔を浮かべて言う。
思わずそれに見とれて言葉を忘れてしまったことに気づくと、おれは慌てて吐き捨てるように言ってやった。


「けっ、そんなの1年限定かもしれねーだろ」
「ばーか。そんなわけないでしょ」


呆れたように笑みを浮かべて言ってくる。
そしてじっとおれを真っ直ぐに見つめたまま柔らかな表情を見せてきた。


「私はいつまでも犬夜叉のことが好きだよ。嫌いになんて、絶対にならない」


なんで急にこんなことを恥ずかしげもなく言えるんだ。
そう思うと同時に、おれは嬉しさと恥ずかしさの混ざった感情を抱きながら「そーかよ…」としか返すことができなかった。

こいつみてえに素直に言える日が、おれにも来るだろうか。



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…というエイプリルフールネタでした。
なんかうまいことまとまらなかったですね!?

犬夜叉にはヒロインに翻弄されててほしいです。可愛い。


2017.04.01:memoにて掲載。



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