21



「犬夜叉よ、鉄砕牙のサビになれ…」


殺生丸さまが冷酷にそう告げる前で、犬夜叉くんが悔しげに一層顔を歪める。鬼の肩に乗る私には殺生丸さまたちの声が全て聞き取れるわけではないけれど、それでも犬夜叉くんが圧倒されているのは一目瞭然だった。
きっと殺生丸さまは、このまま犬夜叉くんを殺してしまう。あの奈落という人と話していたように。それを思うと、ついさっき見せられた凄まじい一撃を思い出してしまって小さく手を震わせた。

そんな時、視界の端の岩陰から飛び出してくる女の子の姿が見えた。その子は「やめて!」と声を上げながら、両手を広げてかばうように犬夜叉くんの前に立ちはだかる。
すると殺生丸さまは鉄砕牙を向けるまま、彼女の姿に思い出すような表情を見せた。


「ん…? 貴様、あの時の小娘…一緒に死にに来たか? 麗しいな」
「せっ、殺生丸さま!」


女の子が「え゙」と声を漏らして表情を引きつらせると同時に思わず声を上げてしまった。その声が届いたみたいで、殺生丸さまはチラ、と私を横目に見る。それについ口元を隠すように押さえてしまうと、殺生丸さまの視線は再び前へと向け直された。

けれど、やっぱり叱責は免れなかった。


「こら風羽っ。殺生丸さまの邪魔をするでない!」
「ご、ごめん…あの子まで殺されちゃうと思ったら、つい声が…」


吠えるように怒鳴ってくる邪見に縮こまってしまいながら小さく言い訳をする。
私だって殺生丸さまの邪魔はしたくない。だけど、闘う力も持っていなさそうな普通の女の子を殺してしまうなんて、あまりに残酷すぎる。そう感じてしまっては咄嗟に声を上げていた。
それに…もしかしたら彼女が私と同じ境遇の人かもしれないと思うと、余計に見過ごせなかった。

邪魔はできない、けれど見殺しにもできない…――そんな相反する二つの思いがせめぎ合う私は、ままならない感情を抑えるようにギュ…と自分の手を握り締める。

そんな時、犬夜叉くんが前に立っていた女の子を後ろへ追いやるようにずい、と前に出てきた。


「どいてろかごめ。殺生丸は、女殺すことなんかなんとも思っちゃいねえ」
「もう黙っていられませんな」
「ん゙!?」


犬夜叉くんだけに留まらず、さらに後ろからあの法師のような男の人が前へ踏み出してくる。その姿には犬夜叉くんも顔をしかめて、すぐさまずい、と追い抜くようにまた前へ出た。


「引っ込んでろ弥勒」
「犬夜叉一人では無理です」
「やかましい、おれの前に立つなっ!」


どうやら弥勒さんというらしい彼と犬夜叉くんが互いに眉を吊り上げるほど言い合っている様子。仲間かと思ったけれど、仲は良くないのかな…?
よく分からないその関係に小さく首を傾げていると、なにやら邪見が身を乗り出すようにしながら弥勒さんの方を見つめ始めた。


「邪見? どうかしたの…?」
「いや、あの法師のことなのかと思ってな。殺生丸さまに腕を献上した奈落という者が言っておったのは…」


真っ直ぐ弥勒さんを見据えながら言う邪見の言葉にビク…と小さく肩を揺らす。脳裏に甦るのは、あの人の声。


「犬夜叉とともに、若い法師が一緒にいるはず。そやつは…あるいは犬夜叉より面倒かもしれませぬ」


あの人は、確かにそう言っていた。まるで最初から犬夜叉くんの元に弥勒さんがいることを知っていたかのように。
犬夜叉くんを殺そうとしていたくらいだから、下調べなんかをしていたのかもしれない。けれど、なにもかも見透かしているようにさえ感じる言動が気味悪くて、握る手にひどく力を込めてしまった。

すると、同じようにあの時のことを思い出していたのか、邪見が「ふん、どう見てもただの人間ではないか」とぼやいて鬼を一歩そちらへと歩み寄らせた。そして殺生丸さまの方へ視線を移しながら声を降らせる。


「あとはこの邪見にお任せを。殺生丸さまのお手を煩わすまでもない」
「…そうだな。見てみたい」


唐突な邪見の提案に殺生丸さまは淡々と賛同する。
もしかして、殺生丸さまも弥勒さんの姿に同じことを思ったのかな。そう感じてしまうほどあっさりと話が進んでしまう様子に少し呆気に取られていれば、不意に邪見から「風羽」と呼び掛けられた。


「お前は振り落とされ兼ねんから殺生丸さまのお側にいろ。無論、邪魔にならぬところにな」
「え…で、でも、どうやって降りれば…」
「わしが降ろしてやるから、大人しくしておれよ」


唐突な指示に戸惑いを見せてしまえば、邪見がそんなことを言って鬼に両手を突いた。

降ろしてやるってどういうこと…? 彼の言わんとしていることがよく分からなくて一層戸惑ってしまいそうになったけれど、同時に、胸の奥でなんとなく嫌な予感だけは抱いてしまっていた。そしてそれが的中するように、邪見の指示を受けた鬼が三本指の手をこちらに伸ばしてきて。私が「ひっ」と声を漏らすのが早いか、鬼の手は私を緩くもしっかりと握って有無を言わさず体を持ち上げてしまった。


「きゃーーーっっ!? うそっ、やだっ…! お願いだから潰さないでっ、落とさないで…!!」


あまりの高さと鬼に握られている恐怖に両目をぎゅうっと瞑ってしまうほど必死に懇願の声を上げる。すると突然放るように地面に降ろされて、思わず「きゃっ」と短い悲鳴が漏れた。
地面と近いところで放してくれたから怪我はしなかったけれど、ついバランスを崩して両膝と両手を突いてしまったものだから少し痛い…。

けれどそんなことに構っていられないほどやけに視線を感じるような気がして、ふと顔を上げてみた。そして見えたのは、こちらを見つめる犬夜叉くんたち三人。彼らはどこか怪訝そうな表情をしながら私の様子を窺っているようだった。

その光景にたまらず後ずさってしまいそうになった、その時。不意に頭上の大きな鬼がまた一歩彼らへと踏み出してみんなの視線が上げられる。
直後――


「叩き潰してくれる!」


邪見が大きな声を上げると同時に鬼がその巨大な手を犬夜叉くんたちへ向けて勢いよく振り下ろしてしまう。
けれど、垣間見えた鬼の手が迫る先――そこに立つ犬夜叉くんたちには、どうしてか怯えた様子がなかった。それどころか「私がやりますよっ」「けっ、雑魚は任せた」という動じていないことが分かるやり取りが聞こえて、前に出た弥勒さんが右手の数珠を外しにかかる。


「成敗!」


弥勒さんがそう言い放ちながら、数珠を外した右手を鬼に向かって強く突き出してみせる。そこに姿を現したのは、手のひらに口を開く無慈悲とも思えるほど真っ暗で小さな穴。それを目にしたのも刹那のこと、ゴッ、と痛いほど強く鼓膜を刺激する音が私たちを包んだ。

それだけじゃない、その音を立てたもの――恐ろしいほど強い豪風が、私たちの体を吸い込まんばかりに凄まじく吹き抜けた。
…ううん、違う。それは確かに吸い込んでいた。振り下ろされた鬼の手を、何倍も大きなその腕を、容赦なく。
それほど強い風に驚くのも束の間、咄嗟に地面にしがみつこうとしていた体が丸ごと掬われてしまうような感覚に包まれた。


「え…」


体が浮く。吸い込まれる。否応なく思い知らされる風と音と感覚にそれを悟ってしまった時、信じられなくて、理解しがたくて、堪らず小さな声が漏れた。

――その時、腕を強く掴まれるような感覚に襲われる。けれどそれに気がついた頃には、さっきとは逆の方向に体を強く引き寄せられていた。


「油断するな」


背中に腕を回されて、グ、と抱き込まれる感触とともに耳元で囁かれる声。それに小さく鼓動を響かせて顔を上げると、私のすぐ目の前――触れてしまいそうなところに殺生丸さまのお顔があった。それどころか、顔以外はすでに触れてしまっている。
あの一瞬で私は、殺生丸さまの腕の中にしかと抱き留められたようだった。


「あっあの、せっしょう…」
「掴まれ」
「えっ、は、はいっ」


戸惑うままに呼び掛けようとする私の声を遮って出された指示に慌てて返事をする。そうしてすぐに殺生丸さまの着物をぎゅっ、と握りしめると、殺生丸さまは私の背中に回していた手を放して、その手で自身の袂から丸い巣のようなものを取り出した。

それは、あの奈落という人から渡されたもの――


「(ふっ、全く念のいったことだ…)」


殺生丸さまがなにか思うように手の中の巣を見つめる。かと思えば、突如それを弥勒さんのあの右手へ向かって勢いよく投げつけた。
次の瞬間、巣からとても大きな蜂のような虫が数多く溢れ出して、私だけじゃなく弥勒さんたちみんなが目を丸くする。するとその虫たちはひどく大きな羽音を響かせながら、どういうわけか自ら弥勒さんの右手の穴に飛び込み始めた。

一体なにを…私が戸惑うままその光景を見つめていたその時、突然「うっ」と声を上げた弥勒さんが大きく目を見張る。


「いっ犬夜叉、あとは任せた!」


弥勒さんがそう言って右手を握り勢いよく数珠を巻きつけてしまうと、あれほど恐ろしく吹き荒れていた風がピタリと止んでしまう。それに伴って息絶えた鬼が重く地面に沈み、鈍い音を響かせた。
けれど巣から出てきた虫だけはまだたくさん残っていて、なおも犬夜叉くんたちへ襲い掛からんと迫っていく。すると「散魂鉄爪!」と叫ぶ犬夜叉くんが爪を振るって、それを片端から無残に散らし始めた。

そんな事態の急変に驚きながらも気になって目を凝らしてみると、うずくまる弥勒さんの顔色が悪くなっているのが分かる。右手を抑えるようにして、なにかに苦しんでいるような様子。
もしかして…あの虫が毒を持っていたとか…? 私がそんな予感をよぎらせていると、弥勒さんの様子を窺っていたあの女の子が「待ってて! なんか薬取ってくる!」と言ってお屋敷の方へ一人で駆け出していった。その姿に、私ははっとする。


(そ、そうだ…あの子の話を聞くなら、きっと今がチャンスだ)


この時代にはないはずのセーラー服を着た、同じ境遇かもしれない彼女。彼女の事情と状況を聞くのに…私の状況を聞いてもらうのにこれほど好都合な機会は今しかない。

そう思った私が許可をいただこうと「あの、殺生丸さま…」と声を掛けようとした時、それを遮るように差し出された殺生丸さまの手が、私を背後へ追いやるように押し退けてしまった。「下がっていろ」という一言まで添えて。
私がそれに戸惑ってたじろいでしまうのにも構わず、殺生丸さまは足を踏み出してうずくまる弥勒さんとその前に立ちはだかる犬夜叉くんを冷酷に見据えた。


「中々面白い見世物だった。もういい…死ね」


言いながら、殺生丸さまは片手で軽々と鉄砕牙を掲げてみせる。それに私が胸の奥を冷やしたその時、犬夜叉くんが殺生丸さまの毒にやられた腕をギュッ、と握りしめた。直後、


「飛刃血爪!!」
「!」
「きゃっ!?」


彼が叫んで腕を振るった瞬間、そこからいくつもの赤い刃が放たれた。それは血でできた刃のようで、私が咄嗟に身を縮めると同時、わずかに体をこちらへ寄せた殺生丸さまが掲げていた鉄砕牙でそれを受け止める。
それによって生まれた一瞬の隙。その間に犬夜叉くんは追撃するでもなく、弥勒さんを肩に担ぐようにして後ろへ駆け出した。

その姿が鬼の死体の後ろへ消えると、確かにそれを見ていた殺生丸さまが鉄砕牙を微かに握り直す。


「隠れても無駄だ!」


そう言い放ちながら勢いよく振るわれる鉄砕牙。それがゴッ、と風をうならせた次の瞬間、犬夜叉くんたちが身を潜める鬼の死体が鉄砕牙の衝撃波によって容赦なく切り刻まれてしまった。

たまらず、息を詰まらせる。逸らすこともできないまま、目を見張る。そんな私とは対照的に、殺生丸さまは力なく降り注ぐ肉片の山を見つめながら「ふっ…消し飛んだか…」と言い捨てるように呟いた。
けれど――


「そう簡単にくたばってたまるか!!」
「!」


殺生丸さまの言葉を否定するように、突如肉片の山の中から犬夜叉くんが勢いよく飛び出してくる。それに一瞬こそ眉をひそめた殺生丸さまだったけれど、その体制はすぐに持ち直された。


「バカが、わざわざ飛び出してくるとは!」


即座にそう声を荒げながら勢いよく鉄砕牙が振り下ろされる――その瞬間、カカッ、と鋭く硬い音が大きく響かされた。それは、鉄砕牙が受け止められた音のよう。
どうやら犬夜叉くんが咄嗟になにかを取り出したようで、両手で水平に構える黒い棒状のものがギリギリギリと微かな音を立てながら鉄砕牙を留めていた。

あれって犬夜叉くんの腰にあったものだよね…もしかして…鉄砕牙の鞘、とか…? 私にはよく分からないけれど、それはあの大きな鉄砕牙に負けることなく、確かに対抗してみせていた。

そんな決死の睨み合いに息を飲んで立ち尽くしてしまっていた時、不意に犬夜叉くんの向こう、鬼の残骸の山で「ひい〜あ、危ないところだった」とぼやきながらボコッ、と頭を出す小さな影が見えた。


「! 邪見っ」


その姿に、思わず声を弾ませる。視線の先で顔を出したのは、弥勒さんに襲われて以来安否が分からなかった邪見だった。まだ上半身しか抜け出せていないけれど、苦しむ様子もないしなんとか無事みたい。
それが分かる姿に私が安堵して表情を緩める中、そんな私に気が付かない彼は「犬夜叉めが、血の刃で殺生丸さまの気を乱していなかったら、わしまで殺されるところだったぞ」と文句のような独り言を呟いていた。

と、とにかく、私がここにいても仕方がないし、邪見に気付いてもらうためにも彼の元へ行こう。そう考えた私はすぐさま駆け出したのだけれど、その途中、視線の先の邪見の頭が突然後ろから誰かの手にがっ、と掴み込まれてしまった。
それに驚いて思わず足を止めれば、振り返る邪見の目の前、鬼の残骸の中から弥勒さんと小さな男の子の姿が現れた。
それによって邪見の顔がひどく固まってしまう。


「な゙。な゙」
「どお〜も引っ掛かりますな。私はあなた方とは初対面のはずだが…あの毒虫の巣…まるで私のためにあつらえたような。どういうことですか?」


驚いて狼狽える邪見に対して、弥勒さんは顔色を悪くしながらもなんだか怖い笑みを浮かべて言う。
“毒虫の巣”…ということは、やっぱり弥勒さんは毒に当てられたんだ。彼の言葉にそれを察しながらも近付けずにいれば、邪見が眉をひそめながら後ずさるように残骸から這い出した。


「そのようなこと…貴様に話す筋合いはないわ」
「ほお〜」


後ずさる邪見に同じ速度で距離を詰める弥勒さんがわざとらしくそんな声を漏らした――かと思えば、突然邪見の顔をばきょ、と思い切り殴りつけてしまう。その瞬間「はうっ」と声を上げる邪見とは対照的に、あまりにも驚いてしまった私は声を出すこともできないまま目を疑うように大きく瞬かせた。

だけどそれは見間違いでもなんでもないようで、弥勒さんは殴るだけに留まらず右手で邪見の胸ぐらを掴み、左手で彼の頭を握り潰さんばかりにぎりぎりぎりと掴み込んでいた。


「調子こいてんじゃねえぞ、てめえ」
「え゙。ちょっと…」


弥勒さんのまるで不良のような豹変ぶりに邪見が戸惑いを露わにする。どうやらその姿は珍しいのか、弥勒さんの連れの小さな男の子まで後ずさっていて、かくいう私も思わず足を後ろに出してしまうほど近付くことを躊躇ってしまっていた。

で、でも、このままじゃ邪見になにをされるか分からない。さっきも平気で顔を殴っていたくらいだもの。もっとひどいことだってされるかもしれない…。
そう考えを改めた私は下がりそうになる足を止めて、ぐ…と体に力を込めた。意を決するように、息を飲んだ。


「あ、あのっ、邪見を放して!」


そう声を上げながら彼の元へ駆け出す。本当はもっと強く牽制するくらいの勢いでいきたかったのだけれど、弥勒さんの剣幕に圧されてこの程度の声が精一杯だった。
それでも声はきちんと彼らに届いたようで、顔を上げた弥勒さんと男の子、そしてはっとした様子を見せる邪見が振り返ってくる。


「なっ…こ、こら風羽っ。お前は大人しく隠れておれっ」
「で、でも邪見がっ…」
「風羽さま…ですか」


邪見の声に一メートルほど手前で足を止めた私に、弥勒さんがそんな声を漏らした。それに私が口をつぐんで彼を見れば、その視線は確かに私へ注がれる。


「かごめさまから聞きました…あなたは以前からこの妖怪たちとつるんでいたと…ですが、見たところあなたは人間であるはず。それがどうして…」


まるでそれを聞く機会を窺っていたかのように弥勒さんは真剣な表情で私に問いかけてくる。さらには私に気を遣うような、難しい表情さえ見せた。


「もしや…弱味を握られているなど、止むに止まれぬ事情があるのでは…」
「なっ…ち、違います! 私は…」


勝手な憶測に胸がざわつくような感覚を抱くのが早いか、私は咄嗟に否定の声を上げていた。けれど、その言葉が最後まで言い切られることはなかった。なぜなら、突然「犬夜叉!」という女の子の焦る声が聞こえて、それに続くように背後でガガガ、という激しい物音が響かされたから。
ただならない様子のそれに驚いて振り返ってみれば、犬夜叉くんの目の前で殺生丸さまが掲げている鉄砕牙――それが、どうしてかあの古いボロボロの錆び刀に戻ってしまっている様子が見てとれた。

一体なにが、そんな思いを抱えるのは私だけではないようで、同じく驚いたように振り返る犬夜叉くんや殺生丸さまたちが視線を向けた先の地面に、糸を引いたような煙を纏う一本の矢が刺さっていた。


「殺生丸! 次は体に当てるわよっ。犬夜叉、逃げて早く!」


状況整理が追いつかないまま響かされたのはかごめと呼ばれる女の子の声。釣られるようにその音源へ振り返ると、お屋敷へ伸びる階段の途中に立つ彼女が威勢よく弓矢を構えている姿が目に映った。


(え…も、もしかして…あの子の矢が、鉄砕牙の変化を解いたの…!?)


にわかには信じられないその可能性に目を、思考を疑ってしまう。けれどキリキリキリと弦を鳴かせる彼女の姿は、それが勘違いではないということをはっきりと証明しているようだった。


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