『やっと咲いた…!』
鉢植えに咲く一輪の薔薇。
自分が手塩にかけて育て上げた花はやはり一段と美しくも見えた。少し自惚れているかな。
でも…きっと、喜んでくれるよね。
鉢植えを持って、廊下を歩く。大切な花だから慎重に。やっぱりラッピングをして渡すべきだったかな…?でも咲いたばかりだし早く渡したいという気持ちが凄く大きい。とにかくノヴァに会わなきゃ。
目的地の聖杯の扉の前に立って軽くノックをする。
…?いないのかな?返事がないままそおっと扉を開いて覗くと誰もいない。何処に行ったんだろう。
ふと、マンマの庭園が脳裏を過った。
きっとあそこにいる…!!急ぎ足でそこへ向かった。
庭園に着くとやはりそこにノヴァはいた。
声を掛けようと近づこうとした瞬間、人影がもう一つ見えてつい隠れてしまった。あれは…マンマ?
マンマがニッコリと微笑んでノヴァに薔薇の花束を渡していた。遠くからじゃ声が聞こえない。
でも分かることは先を越されてしまったこと。
これじゃあ渡せない。私はこっそりと自分の部屋へ帰っていった。
「お嬢様?ご気分が優れないのですか?」
ルカが心配そうに私の顔を覗き込んで、私に紅茶が入ったティーカップを渡してくれる。
『…ううん、何でもないの。ありがとう…ルカ。』
無理に笑って見せるけど上手く笑えているのか分からない。でもきっとぎこちない顔なんだろうな。
ふと、鉢植えの薔薇を見てため息をついた。
薔薇の花束には負けちゃうかな。ちくりと胸が痛む。
「では、お嬢様の為に私がリモーネパイを焼いてきますね!」
そう言ってルカは部屋を飛び出して行った。
心配を掛けすぎたかな。またため息をついて、ベッドに横たわる。この薔薇どうしようかな…。そう考えていればいつの間にか眠りに落ちていた。
誰かが私の頭を優しく撫でてくれる。だ、れ?…ルカ?ううん……違う、これは……
『ん…』
目を覚ますと頭がぼーっとしていて焦点が合っていなかった。ふと隣を見ればうっすらと誰かが私の頭に手を添えていた。目を擦って体を起こすとそこにはノヴァがいた。
『…あ、れ、ノ、ヴァ?…どうしたの?』
欠伸を一つ加えてノヴァを見る。何かあったのかな?
「さっき、僕とマンマが庭園にいるのを見てたか?」
先程の場面が脳内で再生されてちくりとまた胸が痛んだ。あれ…?
「…去っていくお前の姿が見えたから。」
気づかれてたんだ。自分がこそこそと探るような真似をした事に恥ずかしくなった。きっと怒りに来たのだろう。
『ご、ごめんなさい!悪気はないのただ…』
言い掛けた言葉を飲み込む。私は何て言おうとしたのだろう。薔薇の事?それともマンマ?
自分がした事に悔やんで勝手に傷付いて、一体なにがしたいんだろう。
『…ただ、ノヴァに渡したい物があったの。』
「渡したい物?」
立ち上がって側に置いといた鉢植えの薔薇をノヴァに見せた。
『私が育てたの。毎日欠かさず水をあげて日光に浴びさせて。』
育ててきた今日までの出来事をゆっくり思い出して話す。大変だったな。
『マンマのバラ園みたく綺麗かどうか分からないけど一生懸命育てたの。』
そう言って私はノヴァに鉢植えを渡した。どんなに沢山の薔薇でも構わない。私はノヴァの為にこの薔薇を育てたから。
『ブォン コンポレアンノ!ノヴァ!!』
ニッコリ笑うとぎゅっと抱きしめられて額に柔らかい感触がした。
Bella rosa porporina(美しい真紅の薔薇を )
愛をあなたに
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間に合ったー。ギリギリですね…!
ノヴァお誕生日おめでとうー!!
ガルスタ見て一番最初に好きになったのはノヴァでした。あのセリフ未だに忘れません。「僕はお前を好きにならない。お前が僕を好きになるんだ。」(確かこれだったはず…!)
ノヴァ√であのセリフを聞いた瞬間リアルに鼻血がでてヤバかったです。興奮しすぎましたね。はい。
とりあえず、ここまで読んでいただきありがとうございます!!
2012.10.25
載せたのはアウトでしたね……。