『テストとか嫌いです。』

机に突っ伏してため息をついた。学生っていうものはいつでもどこでも青春を謳歌できる生物。楽しいときは楽しいのにいざ現実世界に戻されたら勉強という苦痛を味あわなければならない。ずっと遊んでいられる南の島が非常に羨ましい。

「なまえが赤点なんか取るからだろ。」

シャーペンを転がして教科書とにらめっこ。目の前にいる犬飼くんは私のクラスメイトの同じ神話科。席が隣だという理由と私より点数が高かった理由から拉致して勉強を教えてもらっている。
いつだって犬飼くんは授業中寝ているのに、なんでテストとなると私より点数が高いのだろう。同じクラスの青空くんはもちろんクラス順位で良い成績を納めているけど、私より不真面目でいかにも勉強してなさそうなあの犬飼くんが私より高得点とは!なんて憎らしい、そして全くもって腹立たしい。だからこうやって無理矢理勉強を頼むのも私のプライド上許しがたかったけれど、将来と夏休みの安楽をおさめたいがために犬飼くんに頼み込んだ。まあ、再テストを免れた暁にはアイス一個奢る約束をしたのでなんとか安上がりで済みそうだ。

「つーか…こんな簡単な問題、普通わかるだろ」

『そーですね』

適当に相槌をとにかく打つ。そうでなきゃやってらんない。突っかかると反って余計に面倒そうだし何より見捨てられてしまう。それだけは免れたい。
そういえばこの教室には私と犬飼くんだけなんだよね。教室で二人きりかぁ…心の中でポツリと呟く。普通だったら男女二人きりで放課後の教室で勉強!キュンキュンラブイベ発生中!なんて言ったら世の乙女たちが憧れるイベントの一つだろう。けど、この人はそんなイベントすら発生させない。恋愛からは遠い世界にいそうだし、それに私の恋愛対象じゃないから。犬飼くんと私はただのクラスメイト、ただの友達。恋愛対象なんてなる日が来るのは奇跡に等しいだろう。それに今は恋愛云々はどうでもいい!今はとにかく勉強に集中!

『〜〜〜????』

集中して三分も持たずに私はシャーペンを捨てる。意味が分からなさすぎて頭痛がした。それに犬飼くんは長いため息をついてもう一度私に説明してくれる。何だかんだで一番面倒見が良いんだよなぁ…面倒くさがりやなんだけど…。そういうとこも犬飼くんのよさの一つらしい…青空くん情報だけど。犬飼くんはよくわからない。見てないようで実は見てて、聞いてないようで実は聞いてる。いつも眠そうなのにやるときは何だかんだでこつこつやってたりとか。犬飼くんは不思議な人だ。そして意味が分からない。
…って、私ってば犬飼くんのことずっと考えて…勉強勉強!
再び教科書とにらめっこをする、でもやっぱりちんぷんかんぷんで意味が分からないことだらけだった。

『い、犬飼くーん…ここわかん………』

教科書を向けた瞬間だった。一瞬だけ時間が止まったような気がした。

"眼鏡男子の掟その一、普段している人がふとした瞬間に眼鏡を取ったときのギャップダメージは強い。"

い、いやいやいや、え?目綺麗とかじゃなくて!なんで眼鏡ないの?いつ消えたの?いつ盗まれたの!
というかキュンてなに!?…キュンて!?
そんな私にお構い無く犬飼くんは面倒くさそうに説明してくれる。さっきまで気づかなかったけど、顔近い!!なんでさっきまで平気だったんだろう私…というか、もう…さっきから私ばっか混乱して犬飼くんなんでそんな平然としてられるの!?
余計に腹立たしいしなんだかやられた。まさか意味わかんない人にときめくなんてありえない!!!

『い、いい犬飼くん!!近いっ!!』

教室から逃げるように私は飛び出した。自分でも何故逃げたのかとか眼鏡一つでただのクラスメイトから少し気になるかなレベルに格上げしてしまうなんて恐るべし犬飼くんの眼鏡…。




呼吸を忘れた



眼鏡を拭くために犬飼くんが眼鏡を取ったことを私は知るよしもなかった。


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意味が分からないよ\(^q^)/ところどころツッコミ不在すぎてツッコミが追い付かないオワタ
主人公をアホの子+眼鏡フェチにしたかっただけなんです許してください。本当勘弁してください。
最後に眼鏡男子の眼鏡取ったギャップは本当美味しいです。


2013.06.04