「どう思う、お前さんなら。」

「そうだなあ、三成か…」

各地視察のため東に赴いた帰りに、官兵衛は家康の所を訪れた。先日の三成の態度がどうにも気になったからだ。なぜ家康を選んだかは簡単な話、大谷以外で三成の事に詳しい奴など官兵衛には思い浮かばなかったからである。

「なんと言っても三成は不器用だからな。もしかしたら官兵衛、お前が予想もしていない事が答えかもしれない。」

家康は三成の事で相談があると官兵衛が言えばどうした、と気軽に話を聞いた。もちろん、夜のアレやソレは適当にごまかし、三成がなんだか普段と様子が違うのだと言う官兵衛に家康はそう答えたのである。

「面倒な男だ。あいつは。」

官兵衛が苦々しく言うと、「それが三成の可愛い所じゃないか、」と嘘とも誠とも判断しがたい事を家康はなんでもない風に言い切った。危うく聞き流す所だったが、三成が可愛いなど、とんでもない事だ。

「権現、まさかとは思うが、お前さん三成の事が、」

「まさか。ただ、うーん、なんと言って良いか分からないが三成はあれでも悪い奴じゃない。それは、お前がよく知っている事だろう、官兵衛。」

どうにも曖昧な返答だ。そんなものか、そんなものさ、と話が途切れ、家康は「そんなに気になるならやはり刑部に聞けばい。そうすればきっと答えが出る。」と笑った。官兵衛にとってそれだけは避けたい所だが、このままなのも正直落ち着かない。

「話に付き合わせてすまなかった、小生はそろそろ帰る。」

「ああ、また来い。」
枷に繋がる鉄球を引きずり帰って行く官兵衛を見送る家康は、どちらも鈍いとああも苦労するものか、と苦笑する。



まわりから見たら分かりやすいのに本人達はまったくもって意識して無いって、そんな話。












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