Happy Birthday Teru Saeki | ナノ



来年も、きっと #1

*チーパッパバースデイ様に提出したお話です。
*デイジの名前はありません。



―――7月19日、俺の誕生日。

「佐伯くーん!お誕生日おめでとう!!」

朝から大変だった。何度その言葉を聞いただろう。
引き攣りそうな顔をなんとか笑顔に変えて、プレゼントを受け取って、正直、疲れた。それはもう、盛大に。

両手に圧し掛かる重み。肩が抜けるんじゃないかと思う。だけど、その辺に捨てる訳にもいかない。

それにしても、あいつ…。
毎年屋上に呼び出してプレゼントを満面の笑みで差し出していたあいつは、今日は学校にいなかった。
おかげで…と言う訳じゃないけれど、あいつを気にせずに過ごせたけれど…。

「…ったく、何やってんだよ」

海沿いの道を歩きながら悪態を吐いた。

そう、あいつは――体調を崩して休んでいる。

もう何日目だろう?三連休明けて、そういえば姿を見ないと思ったら、体調を崩したから、バイトを休ませて欲しいとじいちゃんに連絡があったらしい。

そんな訳で、俺の誕生日の今日も、あいつは欠席で。

三連休最終日の海の日に、あかりと遊園地に行った。
思い切り遊んで、帰りは送ったけれど、今考えると、確かに少し疲れていたかもしれない。

まさか寝込むとは思わなかった。だから、そう、俺にも原因の一端はあるような気がして…。

だけど、見舞いの名目で、あかりに会いに行くのはどうなんだろう?

…つーか、そもそも、今日は店を抜けられないだろう。

じいちゃんが客に俺の誕生日をバラしたから、今日はきっと珊瑚礁でも学校と同じような光景が繰り広げられるかもしれない。
プレゼントは断るからまだいいんだけれど。(以前、高級品を贈られそうになった事があるし、そもそも客からものを受け取るなんてできない)どう考えても、今日は見舞いに行けそうもない。

ハァ、とひとつため息を吐いて、珊瑚礁に戻った。とりあえず荷物を部屋に運んで、開店準備をしようと制服に着替えて髪をセットした。

これからは仕事の時間、しっかり気を引き締めないと。店に下りる直前に、携帯を確認したけれど、誰からも何も連絡は入ってなかった。

俺の携帯なんて納品業者とじいちゃん、それに両親とあいつ…ああ、そう言えば針谷もいたか。まあ、どちらにしろ連絡が入ると言えばそれくらいで。そんなに携帯を使わないけれど、高校に入ってからは、あいつがよく連絡してくるようになった。

初めて連絡があった時は正直、何事かと思った。
最初はあいつに構う時間なんてないから、適当にあしらったりもしていたけれど、最近は、コレが鳴らないのが少し寂しく感じる。
…ほんのちょっとだけだけどな。

よほど辛いのか、連絡もない。電話も、メールも。

つーか、あいつ俺の誕生日、もしかして忘れてたり…?

さすがにそれはないか。あのぼんやりは三連休の最終日に言ったんだ。『瑛くん、期待しててね?』と。

なにが、とは別に聞かなかったけれど、誕生日の事を言ったんだと…思う。たぶん。

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