ぽつ、ぽつ、っと頭皮に感じられる程度であった雨が、段々と目視できる位の大粒の水滴に変わった頃になってようやく私は傘を持ってこなかったことを後悔していた。天気予報はにわか雨となっていたので外出するのは一瞬だし、とたかをくくっていたのがいけなかったのだ。どこかで雨宿りをしようと走っていたら丁度良く木の生い茂った公園を見つけたのでそこに入る。これで少しの時間なら雨を防ぐことができるだろう。どれくらいの時間、雨が降りそうなのか、携帯電話のネット情報を見ようとして、ロックしていた画面をつけるとディスプレイには”あと600年”と表示されている。こんな設定はもちろんしたことがないし、幾分、気味が悪い。一度電源を落とし、再起動させても、その表示はついたままだ。雨がついに本降りになって木々でしのげる状態でなくなり、走ってどこかの喫茶店にでも入ろうと走って木々をすり抜ける。何となく気になって携帯電話のディスプレイをもう一度恐る恐る見ながら走ると、”あと300年””あと1000年””あと15年””あと3年”と忙しなく変化している。少し息切れしたので公園で一番大きな木に寄りかかると。
”あと3秒”
と表示されて。稲妻が。
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