ある時の事僕は仕事のストレスと過労で倒れて入院した際の話だ。どこもかしくも白い部屋に一つののテーブルと対面して並ぶ二つの椅子がある。僕は奥側の席に座り、ドクターを待った。まもなくカルテと何やら資料を持って現れたドクターは、椅子に腰掛けると僕に一枚の写真を見せた。それはかなり恐怖を覚えるものであり、詳しく説明すると、どこかの家の(おそらく日本ではない、西洋の)部屋に一人男性が前の方に立って写っていた。そこまでは問題無い、問題なのは背景にある。男性の後ろの窓に写るのは5体の同じ顔、同じ向き、大きく口を開けてこちらを見ている、顔、顔、顔。違いがあるとすればそれは顔の大小で大きいものから順に右へと小さくなっている。一番大きいものは窓の半分くらいの大きさで、一番小さなものは見るのも一苦労なくらいな大きさのものだ。さあ、本当に生きている人物はどれだと思うかい?ドクターは僕に尋ねた。おそらく、一番前に居る男性だけが本物で窓に写るおぞましい顔たちは合成か、CGなのだろうと予測し、男性を指さした。ドクターはニコリと笑って、正解だ。君の精神は正常だよ。と僕を安心させてくれた。おそらくこれは精神安定テストだったのだろう。僕は立ち上がり部屋を出て病室に向かおうとすると、カルテと資料を片付けていたドクターが一言、「まあ、全部生きている6人の人物なんだけどね。」恐怖で発狂しながら出ていく僕の後ろからドクターが、それも正常な反応だよ。と声をかけていた気がする。テスト後のあのドクターの発言が正しかったのか間違っていたのか、僕は退院後の自宅の窓でそれを知ることになる。おっとこれは蛇足かな。
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