三次元の世界に住まう我々はx軸、y軸、z軸の横縦奥行上に座標をおく単なる点でしかない。点と点との距離は様々で密着しているものもあれば、遠く対極上に距離を置くものもある。点達の思いはどうであれ、その座標を動くには何らかのエネルギーを必要とする。そこで私は試しにx軸をかいつまんでy軸と平行に伸ばしてみた。いくつかの点達がせめぎ合って密着する。消滅する点もあれば増えた点もあった。面白がってy軸もz軸もかいつまんであらぬ方向に伸ばして、点達の行く末を楽しんだ。しかしながら0という点、これだけはどうにも動かせない。そもそも0とはなんであろうか、実在しない事を表す0。誰も0にその身を置くことは叶わないが確かに存在しうるもの。いや、存在というよりかは表現という言葉の方がしっくりくる。0の座標をかいつまむことに奮闘してほかの軸をねじったり引き伸ばしてみたり、苦心はしたのだが一向にその0を動かすことはできなかった。作業中、一件のメールが私の元に届く、作業を中断して内容を開く【三次元が歪曲したため、宇宙が一つ出来上がりました。利用規約を確認の上、管理を承認するか否かご返答ください】せっかく作ってしまったのだから、一応管理はしておくか。私は利用規約にろくに目も通さず、承認の返信を返した。だがまあこれが面倒なものであっちこちで爆発するわ衝突するは、勝手に建造物を浮遊させる輩が現れるは、ちゃんと利用規約を読むべきだったと後悔している。宇宙は0から始まったというがこういうケースもあるのだと、諸君らには強く注意をしてもらいたいものだ。私かい?私は単なる暇人だよ。この宇宙の管理人。別の呼び方が幾千とあるので覚えきれやしない。だから暇人Kとでも呼べばいいさ。歪曲させてしまった元の三次元の方はというと。まあそれなりにそこの管理人が上手くやっているようだ。0と女には気安く手を出すなよ、諸君。
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