がたがと岩をどかしてやっと掘り当てた宝箱の中には、古臭い布が沢山入っていただけで、酷くガッカリした。一銭の値打ちもなさそうなカビ臭いその布はやたらとシンプルなデザインの物や細密な絵が描かれているもの様々で、眺める分には暇潰し程度にはなる。そもそも、この宝箱は、ぼくが埋めたものではなくて、代々家の者が掘り返したり埋めたりしているものである。だからこそ、何かきっと価値のある素晴らしいものが入っているのだと期待をしてスコップを握ったのであり、まさかこんなガラクタが入って居るなんて夢にも思わなかった。一番下に畳んであった布には大きな赤い太陽の絵が描いてあった。その旗にだけは何処かに威圧感と既視感を感じながら僕はその布を他とまとめて畳んでまた桜の下に埋葬した。

桜の下には死せるものあり。


昔から有名な話だ。
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