目頭に生える睫毛というものは、なかなか厄介なもので、いたずらな生え方をすると粘膜を擽ってむず痒くて仕方がない。勿体無いが、親指と人差し指を使って摘まみ、ブチブチっとむしりとると幾らか痒みが治まった。少し涙腺が刺激されたので赤い目をしていると、友人が「具合が悪いの?」と心配してくれた。「顔が悪いの。」と冗談目かして返すと友人は笑って私の肩をバシッと叩いた。むしりとった睫毛を眺めて遊んでいると、隣の席のなんとかさんがしきりに鏡を使ってお目目を整えている。ラクダみたいな睫毛とオカメインコのようなほっぺたがとても可愛らしい女性なのだ。黒目なんてあり得ないほど大きくてまるで人間じゃないみたい。だから仲良くなりたくてついつい言ってみたのだ。「睫毛、足りないならあげようか?」その時の彼女の顔ったら、私の飼っている大好きなパグのリリーちゃんみたいだったの!ああ、かっわいい〜
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