ホトトギス、鳴きませんね。奥方さまが哀しそうに仰るものですから。僕まで哀しくなってしまいました。僕の雇い主で奥方さまの旦那さまが、遠方に暫く用事があると言って、私だと思って大事にするようにと奥方さまに渡されたホトトギスなのです。寡黙な旦那さまに似ておいでですね、と僕が笑うと奥方さまも微笑んでくださったので。何だか心が温かくなりました。これはホトトギスが鳴く前にあの人が帰ってきてしまいそうですねぇ。奥方さまは夕時になった屋敷の明かりを"消した"。


変わり無かったか?旦那さまが奥方さまと僕にお尋ねになりました。僕らはなにもございませんよと。微笑みました。その時鳥籠のホトトギスが珍しく暴れて。

『『ウソツキィィ』』

旦那さまったら、ホトトギスじゃないじゃないですか、ウソツキィィ
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