我が君は庭園の手入れがお好きだ、一年中何かしらの花が咲き誇り、庭園というキャンバスに鮮やかな色彩の絵を描く、厄介なのはその芸術品を喰らう害虫どもである。我が君が手塩にかけて育てた植物たちの葉や花弁を食い散らかし、醜い肉体をもぞりと蠢かす姿は嫌悪感しか生まれない。心優しき我が君は、毛虫たちもいずれは庭園を色付ける蝶になるのだから大目に見てやろうと、無闇には駆除なさらない。しかし我が君、知っておいでか、その虫けらどもの殆どは夜の明かりを好む蛾になるということを。だから私はこっそりと虫けらどもの駆除するのだ。ついでだ、屋敷に住まう夜の蝶たちの始末もしておくか。其れをきれいに並べて標本にして差し上げたら我が君もお喜びになるでしょう。さあ、その時間になるまで私はサナギになるとしよう。
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