水の中でもないのにふわふわと色んなものが浮かんでいた。それでも若干の重力は働いているらしく、私は地面に足を着けることが出来ている。雪が降っているわけではないのに地面は白く、周りの木々も白い化粧をしている。触れてみると私の手のひらの温度では溶けずさらさらと地面に零れた。辺りをふふふと金平糖に似た生物が飛び回っている。今、考えてみれば周りの木々も海藻の形に近い、そこで気がついた、この白いものは珊瑚礁。ここでは一年中、銀世界なのだ。このような生命溢れる冬を私は見たことがない。力を込めて地面を蹴りあげ浮上する。珊瑚礁が舞い上がり、金平糖達が迷惑そうにふふふと飛び回った。
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