ぷつっと、傷んで毛先が枝別れした髪の毛を抜いた。じわっと抜いた部分がむず痒くなったが、爪でぐりっと押さえて痛みで誤魔化した。そういえば蚊に刺された時も爪で×印になるように押さえると痒みが和らぐような気がする。それがただ単に痒みを抑えているのではなく、痛みによって神経の集中を拡散させているに過ぎないにしても、放っておくよりはマシだ。傷んだ枝毛を見ると、二又処か、竹箒のように無数にわかれている。端を摘まんで裂いてみると思いの外、上手く剥離出来た。裂いた断面は掠れた白みがかっていて、いつも見慣れた髪の毛も角度を変えると別物のようだと感じた。ふと、我に還り、教室をぐるりと見渡す。そうだ授業中だった。枝分かれしてあっちこっちに余談の飛ぶ歴史の授業、仲がいいのか分からない色んなグループもぶったぎってしまえば案外面白い者が見れるかもしれない。はいっ、と挙手してまずは教室の雰囲気を裂いてみよう。
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