黄金のなる木がありました。とある小さな国にしか生えていないその木を他の国はとても欲しがりました。小さな国の王様は一本につき三十袋の小麦粉と交換することにしました。他の国は小麦粉と交換するだけで黄金のなる木が手に入るとあって国中の小麦を集めて小さな国に送りました。王様もそれに見あった木の本数分送りました。ところがおかしいことに、黄金のなる木はいつまでたっても黄金がなりません。怪しんだ科学者たちが黄金のなる木を隅々まで調べあげたのですが、この木は確かに小さな国で黄金を実らせていた木と同じなのです。

小さな国の王様は窓の外に見える鈴なりの黄金の木を眺めながらコックの作ったクロワッサンをたらふくほうばりながら呟きました。

「秋になったら銀杏の方の雌株は臭いから無料であげちゃおうか。」
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