白い土偶は小刻みにブルブルと振るえている。目がやたらと大きくお世辞にもよいスタイルではないそれはブルブルと振るえている。その振動たるや、残像を生むほどに速くブヴヴヴと空気を揺らめかしている。異質、奇妙、醜悪。本来土偶とは女性美を形にしたもののはずだ。白い土偶は震えるのを止めた。震えすぎてヒビが入りつあるそれからブズプズと何かが這い出てくる。それはそれは美しい蠶であった。美しい蠶は美しい繭をつくり重宝された。だが繭はあまりに大きくなりすぎた。驚いた人々は繭のまま蠶を滅多刺しにしただがそこからは甘美な蜜が流れだし、人々は喚声を上げてそれを啜った。何時の世も変わりゆくニィズに答えなければならない。蜜は啜られながら次のパトロン達の要求を試算するのであった。
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