家の古い箪笥の引き出しに透明なそれを沢山しまっていた。それを私は夢と呼んでいた。ある日箪笥の引き出しを開けると夢は一つも無くなっていた。母に、ここにしまってあったやつどうしたの。と尋ねると、捨てたわよ。大人なんだからちゃんと捨てなさいと怒られた。夢は一体何ゴミなのだろうか。それにしても勝手に捨てるなんて、大人は意地悪だ。何回だってまた詰め込んでやろう。そんな私の決意を知らず、母は、今の時代はリサイクル出来るようになったからいいことよね。私の若い頃は捨てるしか無かったから。とこぼした。


夢を捨てる日は毎週水曜日らしい。
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