ある所に賢者と愚者が住んでいて、賢者は大変頭のよい事を誇りに思っていたので、いつも難しいことを聞いては理解できない頭の悪い愚者を見下していた。ある時、賢者は「このままでは世界は●●●●により◎◎年後には××××が起きて最大の危機に直面するぞ!!」とかなり興奮した様子でラジオやテレビでその危機について語っていた。愚者は賢者が何を言っているのか理解出来なかったので、いつも通り、美味しいスープと焼きたてのパンを食べて「明日は晴れるかな。」とわくわくしながら床に着いた。賢者の方はと言うと仕事から戻った頃には大変疲れていて「明日は†††時から∇∇∇の確率で雨だったな。煩わしい。それよりもこれからの世界についてもっと研究せねばなるまい。」とご飯も食べず、睡眠も取らず研究し続けた。そんな生活は今に始まったことでは無かったので賢者はさして辛いとは感じなかった。次の日の朝、過労とストレスで賢者は亡くなっていた。すぐに葬儀が行われ、その場で愚者は「馬鹿だなあ」一言呟いてしまったので賢者の関係者から大変叱られてしまった。その日、空はこの時期にしては珍しいほどに晴れ渡っていたので愚者は野菜を収穫して肉と一緒に炒めたものをガレットに包んで食べた。「明日も晴れたら釣りに行こう。雨だったら何をしようかなあ」愚者は明日の天気、ましてや世界の危機なんてものは理解できなかったが。自分が幸せであることは分かっていた。
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