私は優しいから、明日が雨になったところで、あなたの首などはねることなんてまずしないから安心していただきたい。まず、前提がおかしいとは思わないか、なぜあなたに明日の天気の行方を委ね、責任を取らせようとするのか、全くもってナンセンスな話じゃないか。ほら、首にかかった縄をといてあげよう。ひどいことをする人間はどの時代でもいるものだ。曇り空の場合君の安否は一体どうなるんだい?経験談を聞かせて欲しい。もうすぐ振興会があってね。一興そこで小話を、と思っているから是非にでも参考にさせていただきたいんだ。ほう、特に何をされるわけでもなく、寧ろ見向きもされないときたか。ますます、人間というものは傲慢で自分勝手な生き物だな。雨、ああ、雨といえば例年に比べて今年は雨量が少なかったね、梅雨入りも早ければ梅雨明けも早かった。水瓶が心配なところではあるけれど、どうやら局地的な雨であり、問題はないようだね。つまるところ、いつか雨が降ってしまったらきみはその首をはねられてしまうのかな?うん、そうかい。なかなかに複雑なシステムなんだね。特別な日でなければきみの身に危険が差し迫るようなことはないということか。そうそう、明日は娘の誕生日でね。どこかに連れてってやりたいと思っているんだが、明日の天気はどうなるかな。晴れでもいい雨でもいい。場所を変えるだけさ。ほらほら、そう暗い顔をするなよ、縄をいい加減おきたまえ。だあれもそこまで気にしてなんかいないんだから。気象予報士の生死なんてね。
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