バラを育てるにあたって必要なのは、まず、バラの種を手に入れる必要がある。だが、そんじょそこらのバラの種ではここの土地には合わずに枯れてしまう。なので私は、自ら森へ赴き、収穫しなければならない。それはいつものことで、取りてて難しい事ではなく、しいて言うのであれば、手荷物が多くて煩わしい、と言う事のみである。ピーナッツと虫取り網を携え、家の裏側にある森の奥へと進んでいく。途中、破に食われたりはしたものの難なく目的の場所へと私はたどり着いた。まずはピーナッツをなるべく平らな地面に置く、その後は身を潜めて待つだけである。息を殺して暫くすると、ガサガサという音と共に標的が姿を現す。ピーナッツの香りに釣られてやってきたか。私は勢いよく飛び出して、虫取り網でそれを捕獲する。ジタバタと暫く暴れていたが、足をもぎ取ると、大人しくなった。今日の収穫は上々で、10も捕らえることが出来た、早速持ち帰って、花壇に植えようと、虫取り網に放り込んでおいた、それらを取り出す。だがうっかりしていた、大人しくしていたと思ったら、足が生え変わっていて、全部一斉に森へと帰っていってしまった。どうやら、少し、手際が遅かった様である。肩を落として、元々植えてある、バラへと水をやることにした。一度ここに根付いたバラはとても大人しく成長してくれる。植物は愛情を注げば美しく花を開いてくれると言う話は真実だ。その日の夜は満月で、バラたちもどこか嬉しそうに『ダンス』をしている。これが楽しみでバラを育てているといっても過言ではない。しかし、まあ、難しいものだ。脚の生えたバラを捕獲するということは。え、バラには脚が生えてはいないって?見たことが無いからそう言えるのだ。カラスが黒いと言う概念で白いカラスを見たって珍しいと思うだけだろう?だったら脚の生えたバラだって同じことさ。
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