強く握り締め過ぎたからがろうか、手のひらに残るジグソーパズルの最後の一つは歪んでしまっていた。ここまで来て諦めなければならないのかと、私は一人、大きなため息をついた。どうしてもはまらないピースを、無理やり押し込んでみると、その衝撃ですべてのピースが弾け飛んだ。やり直せなければ。私は四方八方に飛び散ったピースを集めると再度組み立直そうとまずは四隅のピースを探す。だがどうにも2辺が直線のピースが見当たらない、どういう事だ。ピースの数は合っている。ひょっとすると先程、無理やりに詰め込んだピースの所為で歪んでしまったのだろうか。仕方なく完成間近だった絵柄を思い浮かべながら、記憶を頼りに組み合っわせていく。30分程度でまた最後の1ピースまでたどり着いた。そのピースをはめようとする私の手は小刻みに震えている。ゆっくりと慎重に残った空間にはめこむ。ぱちり、という、小気味いい音と共に最後のピースが埋まった。出来上がった完成図は始めに思い描いていたものに比べて歪曲も甚だしい。

どうしようもなく悲しい。

けれどそれは額縁に入れることができない儚い美しさも同時に持ち合わせていた。
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