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「う・・・ウソだべ・・・」


がっくりと膝をついて、ボクの目を真っすぐに見るお母さんの目に溢れてくる涙を、ボクは直視出来なかった。
セルゲームが終わって、お父さんが死んでしまって、ボクが真っ先に向かったのは生まれ育った家ではなく、神殿だった。
ドラゴンボールを使ってセルにめちゃめちゃにされた世界を元通りにしなければならなかったし、ボクの取り返しのつかない失敗がもしかしたら、あの不思議な力でどこかで帳消しにしてくれるんじゃないかという淡い期待もあった。
でも、やっぱりお父さんが死んでしまったという現実は、変わらなかった。


それでもボクは。


お父さんの笑顔をみることができた。
お父さんの声を聞く事が出来た。
お父さんの最後に戦う姿を見る事ができた。
お父さんはボクを励まし続けてくれた。
お父さんはボクを褒めてくれた。
お父さんはボクにお母さんを任せると言ってくれた。
お父さんは・・・・。


でも、お母さんは?


「うわああああああーーー!!嘘だーーーーー!!!悟空さが負けるわけねえだーーーー!!!!」
「お、お母さん・・・」
「うわあああああああああ!」

床に突っ伏して泣き崩れるお母さんの背中を撫でながら、何故自分に涙が溢れてこないんだろう、と思った。
だって、泣き虫なこれまでのボクでは考えられないことでしょ?


「ああああーーーーーー!!」
「お母さん・・・ごめんなさい・・・」
「うっ・・・うっ・・・うううううう・・・」



泣きつかれたお母さんを、おじいちゃんと一緒にベッドに寝かせた。
ボクも温めたミルクを飲むと、台所のテーブルでいつの間にかうつぶせで眠っていた。







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