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クリリンとトランクスによってさらに念入りに破壊されたはずであった、ドクター・ゲロの地下研究所の、さらに地下。
古い記憶をたどればそこに、ドクターが私室として使っていた部屋があることを私は知っている。いや、これは「私」の記憶ではない。

まあいい。無数の細胞の、そのうちのどの記憶に値するものかはわからないが、そんなことに興味はない。


徹底さに関して、ドクターが自らに定める基準は大したものだった。
徹底するということに関して、重要なのは想定されるリスクを減らすためのその方法であり、まだ起こってもいない事態に対する想像力。
例えばもし地上に研修室を構えているのであれば、その数は必ずしもひとつとは限らない。ひとつがなくなってもすべてが終わるものではない。そういう考え方もある。
無論その逆で、集約もまたひとつの戦略だ。「ここさえ守れば、ここだけ守れば」として、すべてを一極に集中させるのもリスクに対しての考え方だ。


ドクターは地下に研究所を構えた時点で、人目を忍ぶというリスク回避対策を取った。それだけに飽き足らず、ドクターは自身の研究を深めていくにしたがって、幾重にも網の目のように広く、そして深く、対策をさらに厳重にしていった。




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