サトウ×チナミ

SBT(スーパーバカップルタイム)です。やってるだけみたいな話です。
ちょっと直接的な描写が多いのでR-18

でれでれなチナミなんてチナミじゃない!な方は読み飛ばしても問題ないです多分。















「…なんなんだ、あれは。」

眉根に深い谷を作り、苦々しげに呟いたのは都だった。
その視線の先にあった目を疑うような光景。朝餉中の大部屋内が異様な空気に包まれているのは、間違いなくあのせいだ。

「サトウ、この漬物は食べたか?良い具合に漬かっている。」
「おや、そうですか?…チナミくん、口を開けて。」
「なんだ?あー…、っ!ひょ、はっへひふひひひへふは!」
「美味しいのでしょう?」
「…っんぐ、はっ、た、確かに美味いが、くれという意味では!」
「分かっています。私が、チナミくんに食べて欲しかっただけですから。…いけませんでしたか?」
「………俺だって、お前に食べて欲しかったんだ…。」
「チナミくん…!」

ぼきり、という鈍い音が響いた。都が弾かれるようにその方向へ目をやると、高杉の手の中で箸が見事に折れている。ああ、あいつもなんだかんだ言って常識人だからなあ、なんてことを考えつつ、他の八葉達へと目を移せば、瞬は無視、龍馬は唖然、沖田は興味なさそう、小松は面白そうに目を細め、桜智は…ゆきの方をちらちらと盗み見るのに忙しいようだった。都がそんな桜智に鋭い視線を投げかけたところで、こちらになど気付く素振りもない程に。

はあ、と溜息をつく。隣でもぐもぐと卵焼きを咀嚼していたゆきが、どうしたの、と首をかしげた。

「どうしたって…気になるじゃないか、あの二人。」
「え…ああ、チナミくんとアーネスト?そういえば、なんだか急に、すっごく仲良くなったよね?」

そう言って純粋そのものといった具合に微笑んだゆきを見て、都は"やっぱりゆきは天使だ"などと思うのだけども、そのふわふわとした思考に似合わない不穏な会話が耳に飛び込んできたものだから、思わずそちらに集中してしまうのも無理はなかった。

「私にはチナミくんが一番のごちそうです。…食べさせて、くれますか?」
「さ、サトウ…っ …俺、も、」

これはゆきの情操教育上よろしくない。そう判断した都がもう一度ゆきに目をやると、もう瞬がその耳をしっかりと塞いでいた。しかし安心したのも束の間で、サトウがチナミの顎に手を添えた瞬間、都は慌ててゆきの目を塞ぐことになったのだが。

「ねえ、君達。」

そんな中声を上げたのは、今の今までさも可笑しそうに事態を傍観していた小松だった。

「仲がよろしい大いに結構、だけどね。場所くらいは弁えてくれる?」
私個人としては構わないけれど、ほら、あんなになってしまう者も居るのだから。そう言った小松の視線の先には、顔を赤らめ、所在なさげに視線を泳がせる龍馬の姿があった。

「…失礼しました、皆様。」
「す、すみません…っ!!」

むっすりとしたアーネストと、赤い顔で慌てるチナミ。その姿を見てある者は安堵の溜息をつき、またある者は面白がってみたりするのだった。



***


「チナミ、こっちへ来て…。」
「サト、ウ。」

薄暗い一室の中、二つ並んだ単衣姿の人影が、ゆっくりと身を寄せ合った。

アーネストがチナミの肩に触れると、その身体は微かに震えていて。

「緊張していますか?…怖い、ですか?」
耳元でそう囁いたアーネストに、チナミはぎゅっと目を瞑って「気にしないでくれ」と答えたのだが、その声は痛々しい程に震えていたものだから、アーネストはそれ以上手を動かせなくなった。

自分に触れてこないアーネストを不思議に思ったチナミが、うっすらと目を開ける。
そこにあった顔は、切なげに歪んでいた。

サトウ、とチナミが名前を呼ぶと、サトウは我に返ったように目を見開き、そして何事もなかったのかのように微笑んだ。
怖くない、安心していいのだ、と幼い子供に言い聞かせるような微笑。本当は、そうして励まして貰わねばならないのは、アーネストなのではないか、なんて思考がよぎった。それが何故かをチナミが知ることは叶わなかったけれど。

「…サトウ、俺は大丈夫、だから。お願い、だ…」

はやく、してくれ。

その声は酷く微かだったが、アーネストの耳へは確かに届いたようだった。目の前で茹で上がったように赤くなる少年の熱がうつったかのように、顔が一気に熱くなったアーネストは、それを誤魔化すように口元を手で覆う。

これは何だ、と思った。
今のチナミの、あまりの素直さと直球さ。それはアーネストにとって、強すぎる甘い酒に酔うような感覚に似ていた。
過ぎれば毒となるような。けれど我慢もしたくなく、いっそのこと溺れてしまいたいような。


何か恐ろしい気もしながら、しかし湧き上がる熱と欲に抗えず、アーネストはチナミを褥に組み敷き、そうして、口付けをした。口内の隅々まで味わい尽くすような、深いそれ。

始めこそ身体を強張らせたチナミが、精一杯舌を絡ませ追いつこうとしてくるのが堪らなく愛しくて、どうにも止められなかった。舌の先で歯列をなぞれば、チナミは頬を紅潮させて身震いをする。時折漏れてくる掠れた高い声があまりに甘く響くものだから、早くも腰のあたりにずん、と襲ってきた感覚に、アーネストは苦笑した。

唇が離れたとき、互いの息は荒れていて、二人を繋いだ銀色の糸は、切れ落ちてぱたりと白い褥に跡を残す。

チナミは熱に浮かされた子供のようで、それがアーネストの抱える背徳感をより強くさせた。今となってはもう、その背徳感すらも二人を興奮させる材料になっているのだが。


すらりとした綺麗な手が、チナミの袷を広げ、肌を滑っていく。普段は手袋の中に隠されたその掌が、自分を暴いていくのだ。そんなことを考えたチナミは、なんだか余計に恥ずかしくなってしまったのだが、そんなことを知る由もないアーネストの手は止まらなかった。
それどころか、手だけではなく唇も、首に、鎖骨に、胸元に、幾度も落とされる。時々、微かな痛みも伴って。
そして、今まで脇腹や腿のあたりをまさぐっていた手が、不意に胸の飾りを引っかいた。

「ぁあっ…ふ、…っ」

思わず漏れた声は自分の声だと思いたくない程に高く、その羞恥に堪えるようにチナミが唇を噛めば、アーネストの指がすぐにそこへ触れた。

「あまり強く噛むと、血が出てしまいますよ。それに、声も、聞かせてほしい…。駄目でしょうか?」

甘い声色と熱を孕んだ瞳で、切なげにそんなことを言われてしまえば、抗うことなんて出来なくて、チナミは口に込めた力を緩めた。
その瞬間、アーネストの唇が弧を描く。同時に胸への愛撫も再開されてしまったものだから、チナミはそれに気をとられ、アーネストに上手く丸め込まれたのであろうことを気にすることはできなかったが。
片方の突起を指で捏ねられ、もう片方にはざらついた舌が這う。もうそれだけでチナミは自分の下肢に血が流れ込み熱が篭っていくのを感じた。堪らずに、両の足を擦り合わせて疼くその感覚を紛らわせようとする。胸元にあるサトウの頭がちらり、とチナミの顔を見やり、目を細めた。

「おや、もう…欲しくなってしまいましたか?」
「な、いや、そんな…っ」
「…ねえ、チナミ。貴方の望むことなら、なんだってして差し上げます。ですから、」
お願いです。沢山、求めて。

むせ返りそうなほどに甘く熱い空気の中、その言葉だけはやけに冷たく硬質な響きをもってチナミの耳に刺さった。なにかとてつもなく切実な思いがそこにあるようだった。チナミの脳には心配に似た気持ちが過ぎったのだけれど、囁かれた低温に肌がぞわぞわと反応してそれどころではなかった。

「さと…、下も、さわってくれ…っ」

泣きたい程の羞恥に耐えるように、目を伏せながらそう言った。途端に脇腹を撫でていたサトウの手のひらが、するりと腰にまで落ち、そのままゆっくりと中心へ這っていく。焦らすような動き。チナミはもうどうにでもなれ、などと投げやりなことを考えながら、両腕をサトウの首に回して、金色の髪を掻き混ぜた。

「はやく、ちゃん、と。さわって…っぇ」
「っ、」

ごくりと、サトウの喉が音を鳴らす。同時に、のんびりと内股を撫でていた手が突然性急な動きでチナミの自身を擦った。

「っあ、あぁ…っ!」

既に半ば勃っていたそれは指で擦られる度にじゅくじゅくと淫猥な水音を立て芯を持っていく。サトウの指で作られた輪が竿を掴んで上下するたびに、電流のような快感が足の先にまで響く。びくびくと腰が跳ねる。時々、長い指が先のほうや玉を弄ぶように触れる。どんどん迫る限界に、息が止まりそうだった。

「っは、ぁっ…っ、はぁぁ…、んっ」

殺した息と、それでも堪らず零れる高い声。甘すぎるそれにサトウは脳髄まで蕩けさせられるような気がした。それは毒にも似ていた。

互いが高まる興奮の中に身を置き、荒くなった呼吸の音がさらにそれを煽る。
チナミの痙攣の頻度が徐々に増していく。サトウの頭を抱く腕に力が篭った。

「っん、ん…っんぅぁ、ふぁ…っ!…ぁ、」

一際大きく身を強張らせたチナミが、がくりと突っ張らせていた足を落とす。サトウの手にはどろりとした半透明の精が絡んでいた。
サトウの頭を抱えていた腕は、力を失って白い褥の上に横たわっていた。しきりに上下する白く薄い胸に頭を預けておくのも大層心地よかったのだが、サトウはゆっくりと身体を起こして、それから、チナミの額に唇を落とす。

「…今日はここまでに、しましょうか?」

最後までしていないというのに、ましてや自分など吐精さえしていないのに、ここまで体力を使ったのは初めての経験だった。おそらくそれはチナミも同じに違いないと、そう思った。逆上せきった顔色でぼんやりと自分の顔を見上げる少年は、明らかにぐったりとしていた。
しかし、返ってきた言葉は、予想外のものだった。

「…いや、だ。」

絶頂の感覚の残滓に囚われたままのチナミは、震えた声でそう答えたのだ。
ふるふると睫毛を揺らしながら、拗ねたような視線をサトウに送って言葉を続ける。

「俺ばっか、気持ちよ、くなって。いやだ、いっしょがいい。いっしょに、しよう?それに…まだ、足りない。」

そう言うチナミの瞳には、欲情の色がありありと浮かび上がっていた。もう自分が何を言っているのかすら良くわかっていないのだろう。そうでなければ、こんな。サトウはチナミの誘惑に、眩暈を覚えるばかりだった。なんだか自分だけ正気でいるのが損のような気がしてきて、だから、もう一度チナミの額に落としたキスを合図に、サトウは最後の理性を手放したのだった。


拭き取らずにいたチナミの精まみれの手のひらを、ねとりと後孔に擦り付ける。跳ねる腰を押さえつけながら、これから指を埋め込むそこの周辺を解していく。チナミの身体は幾度も重ねた行為故に簡単に受け入れる準備を済ませたのだが、十分に柔らかくなっても尚サトウは解す動作を止めなかった。チナミがどうしてと小さく呟くと、サトウは“あなた”は初めてでしょう?と笑う。けれど穴がひくひくと疼くのが止まらなくて、チナミは腰を揺らしてサトウの指をそこへ導いた。

「いれ、て。まぜて、きもちよく、してくれ…。」
「…っ、そんな誘い方、どこで覚えたんです…?」
「しらない。お前が…教えてくれたんじゃ、ないのか?」

ちくりと胸に刺さった棘には気付かないふりをして、サトウは一気に二本の指を突き入れる。絡む肉壁は喜ぶように蠢き、きゅうきゅうと指を奥へ誘おうとする。声にならない声を上げたチナミの口の端から、一筋の唾液が伝った。サトウはそれを舐めとりながら、指では中を容赦なく押し混ぜ、引っ掻く。腸液と塗り込めた精液が混ざり合い、ぐちぐちとした音を立てた。もう一本指を増やしたが、チナミのそこは難なく受け入れる。そろそろか、と思い、サトウは指を引き抜いた。喪失感に、チナミが詰めていた息を吐く。
間も開けずに、サトウは勃立した自身を宛がう。今度は焦らすような余裕などなかったが、一応の確認をするようにチナミの顔を見る。

「チナミ…。」
「ああ、いい、から。はやく…っ!」

もう待てないと言うように、チナミはいやいやと頭を振る。そして、遂に待ち望んでいた感覚が互いの神経を駆け巡った。
締まりが良く、けれども柔軟な肉の壁を割り開いていく異物感。熱いそれはチナミを内側から焦がしていくようで、走る快感にいっぱいいっぱいで、口から出る言葉に気を回すことなど出来なかった。

「はぁっ、い、いいっ、…おっき、ぁあ・・っ、あ、ふ、ぅう…っ」
「チナ、ミ…っ!」

何度かゆっくりと繰り返された抽送が、加速していく。抜かれるときに感じる甘い電流のような疼きと、突き入れられるときの息が止まりそうな快感。そのどちらもがチナミを翻弄して、頭の中はぐちゃぐちゃだった。強い快感で目の前に火花が飛び、生理的な涙が視界を滲ませる。サトウの方も、自身を心地よく包みこみ、甘く扱くその感覚に溺れきっていた。チナミのあられもない声が酔いを深めていく。

「さと、さとう…っ、は、ぁあっ、んぅっあ、す、きぃ…だいす、き、だ…ぁ、っ」
「私も、です。チナミ…く、っは…、…っ」
「す、き、あぁっ…ひぅ、あぁ…っあ、っひゃ、ぅ、ぅう…ん」

腰を合わせる度に大きくなってゆく快感の波が自分を攫っていくような心地がして、チナミはサトウの背中に爪を立てた。その場所に縋るような思いで。背中に走る痛みすら甘く感じて、サトウは身体を揺らす度腹を打っていたチナミのものを掴む。チナミはびくびくと身体を痙攣させ、喉を鳴らす。自らを包む壁にも力が篭り、思わず息を吐いた。手の中にあるそれは張りつめていて、今にも爆発しそうだ。根本を少しきつく握れば、先端から先走りが流れた。その流れる感覚にすら感じるようで、チナミの腰が跳ねる。

「もう少しだけ我慢してください、チナミ…。」
「や、やらぁ…っ、も、むりだ、ぁ…」

ぼろぼろと涙を零しながら、弱々しく頭を揺らす。それがサトウの嗜虐心を煽り、自身を肥大させた。

「く、」

短く息を吐いたサトウは、腰の動きをより深く、そして早くした。チナミは息も絶え絶えとなり、ひたすら嬌声を上げるのみだ。高まっていく性感に身を任せて、腰を突き上げる快楽に集中する。

「ゃ、あぅ、あ、あ、あぁ…っ、あ、い、く…っふ、いく…っ!」
「…っ、は、あ、あ…っ!」

二人の鼓動が、一際大きく胸を打つ。サトウはチナミの最奥に欲を吐き出すのと同時に、抑え込んでいたチナミ自身を開放するように強く擦り上げた。チナミは何度も身体を跳ねさせながら、どくどくと音を立てて精を放つ。その表情は強すぎる快感に朦朧としていて、唾液と涙と汗に塗れ、サトウの目には酷く淫猥に見えた。


十分に呼吸を整えてから、サトウは挿さった自身を抜くことなく、チナミの腰を押さえつけながら褥に横になった。そうすれば途端に倦怠感と充足感と睡魔が襲ってきて、そのままサトウは目を瞑る。自分の胸にぴたりとくっついた背中から規則正しい息遣いが伝わってきて、ああ、チナミはもう眠ったのだと思った。その思考を最後に、サトウもまた意識を手放した。

考えなくてはならない色んなことから、目を逸らしたままに。








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進まない連載で申し訳ないです。


120205


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