カントーの電力会社で働いてたお父さんが、ラルースシティの自然と一体化した街づくりを調べてくるよう派遣されたから、私はここにやってきた。 やってきてふつかで迷子になってるのが自分でも滑稽な気がしたけど、トオイくんは笑わなかった。タイピングの手が止まっている。 「…もしかして…」 「な…なに…?」 「…やっぱり、なんでもない」 カントーに何か思い入れでもあるのかなと思ったんだけど、トオイくんはちょっと考えた後、何かを振り切るようにぶんぶんと頭を振った。 「えぇと、君は何歳?」 「…トオイくん、女の子に歳を聞くのって失礼なんだよ?」 「ご、ごめん…。じゃあ一緒にこの街に来た人は?」 仕返しにからかったつもりだったのに、トオイくんは本当に優しくて人がいい。カントーにはこんな男の子、いなかった。 耐えきれなくて、思わず笑みがこぼれる。 「うそ、私は構わないってば。17歳だよ」 「…えぇっと…」 「代わりに教えてもらってもいい?トオイくんは何歳?」 私がうそ、と言ったのが何でだかわからない、といった顔で、トオイくんは戸惑ったように私を見つめる。薄水色の瞳。 「僕?僕も17歳だよ」 「同い年なんだ」 「…そうだね」 同い年には見えなかったなぁ、美少年はすこし童顔なのかもしれない。と、またすこし失礼なことを考えた私から目を反らし、トオイくんはカチャ、と最後の、たぶん7っていう数字を入力した。 「…なまえ?」 「え、っ!?」 「なまえ、だね。よかった、君が見つかって」 カチカチ、とトオイくんの指が、マウスを軽やかに2回ノックする。それに呼応するように、心臓がどっきり跳ねた。 だけどそれを自覚する前に、画面いっぱいに映し出された私自身を彼が見せてくれたとき、私は叫び声を上げながらパソコンに覆い被さった。 トオイくんが目を見開く。 101201 |