「混血、児…?」
風子さんから紡がれる言葉は俺の知らない事だらけで。
なまえの親父さんが死神?
half-bloodプロジェクト?
なんだよ、それ。
だんっとちゃぶ台を叩きつける。井上の心配する声が聞こえたが、俺はただ拳を強く握った。
「………真実を知った私は迷った。それでも生みたいと彼に告げたわ」
たとえそれがプロジェクトだったとしても。
「………忠弘さんは私の事、好き?」
「もちろんです!僕は風子さんが好きで…愛しています」
「私も。だったらこの子は実験台じゃない。私達の愛の結晶でしょ?」
私のお腹を元気よく蹴るこの子は、紛れもなく私達2人の子供。
「風子さん…」
「だからそんな悲しそうにしないで。この子に伝わるわ」
緊張は人に伝わると真咲さんに教えられた。悲しみもまた、同じだと思う。
「…ごめん、風子さん。ありがとうっ」
「だーかーらっ、そんな顔しないでって」
たとえいかなる子が生まれようと、私達はこの子を護る、そう誓った。
それから、忠弘さんは喜助さんと共にあるものを作り始めた。
死神の力を吸い取ってしまう珠、霊封珠。もしも生まれてくる子が死神の力を受け継いでいた時のための道具。
無色透明で、とても綺麗だった。
「すごいねー」
「喜助さんはすごいんですよ。彼に憧れて僕は死神になったぐらいですから」
「褒めたって何も出ないっスよー」
「おっ、やっておるな」
喜助さんと夜一さんと忠弘さんは固い絆で結ばれていた。喜助さんが永久追放を受けた時も忠弘さんはついていこうとした。しかしそれは喜助さんによって止められたらしかった。
「できればこれを使わないで済めばいいんですけどね」
だけどそれは叶わなかった。
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