私は、クラスで浮いている。
いや、学校でと言った方が正しいだろう。
赤い髪
高い身長
ピアス
それに、ワケあって1個上
そんな私をみんなは“不良”として見ている。
別に不良でも何でもない。
髪は地毛だし、ピアスは興味本位であけただけ。
売られたケンカは買うけど売らない。
それなのに恐がられるって、少なからず傷つくわけで。
そして私にはみんなと違う点がある。
それは、この世のモノでないモノが見えるという事。
幽霊、お化け。そういった類のモノだ。
だから私の居場所はここにはない。
そう思っていたんだ―――…。
*****
「あ、なまえちゃんだ!」
初めて学校で下の名前を呼ばれたかもしれない。
振り返ってみると、知らない男子がこっちを見て微笑んでいた。
「…………誰?」
「芥川慈郎!隣のクラスだよ」
クルクルした髪の毛に、パッチリした目。人懐っこそうな彼はどうやら芥川慈郎と言うらしい。
………知らない。
関わりたくなくて踵を返す。しかし彼に腕を掴まれた為に歩みを進められなかった。
「えへへ。少しお話しない?」
「なんで?」
聞いてみても彼は笑うだけ。それに嫌気がさし、腕を振り払おうとした時だった。
「昨日、公園で。って言っても分からない?」
「はっ?」
突然の言葉に眉をひそめる。
確かに昨日は、保育園に弟を迎えに行く前に公園に寄った。
そこで生きていない男の子と少し遊んで…。
「……あんたまさか」
「うん、見えるんだよね」
霊感は強いほうなんだ。そう言う彼に私は驚いた。
「ぼやける程度?」
「ううん、はっきり」
どうやら彼は幽霊が見えるらしい。しかも“はっきり”と。
今まで幽霊を“はっきりと見える”人はあの人しか知らなかった。
まさかこんなにも近くにいたなんて。
「ね?お話しよ?」
「………わかった」
渋々、私は了承して頷く。彼は嬉しそうにその場でジャンプしていた。
…変なのに関わったかも。
深く吐いたため息は、はしゃぐ彼には届かなかったみたいだ。
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