カーテンから漏れる光が眩しくて時計に目をやる。
「朝…」
一護の言葉を考えていたら一睡も出来なかった。
居場所は出来るじゃなくて、作るもんだ。
……意味分かんない。
隣で寝ている和希を起こさないようにベッドから起き上がり、制服に着替える。ボサボサの髪の毛を梳かして部屋を出た。
エプロンを身に纏い、冷蔵庫から食材を取り出して料理を始める。
朝食と、3人分のお弁当。
少なかったレパートリーが、今では腕を磨いたので増えた。
キャラ弁にも手を出し、今日は某あんぱんヒーローを作ろうと思う。
切って炒めて盛り付けて。
料理は好きだったりする。
「おはよー」
「おはよ、お母さん」
パジャマのままリビングにやってきたお母さん。目の下にはクマが出来ている。
「なまえ、コーヒーちょうだい」
「はいはい」
大きな欠伸をしながら、お母さんは席に着く。
雑誌の編集長をしているお母さんはいつも大変そうだった。
朝早くから夜遅くまで。帰らない事もしばしば。
「昨日はごめんね。急にミスが発覚してさ」
「編集長サマは大変ですね。はいコーヒー」
湧かしてあったお湯を注ぐだけのインスタント。それを受け取って冷ましながら飲むお母さん。
「久々に一護をからかいたかったわー」
「ははっ」
お母さんは何かと一護をからかう。以前もふざけて首を締めたら一護の顔が真っ青になって、私達が慌てて止めた事があった。
お母さん曰く『反応が可愛い』らしい。
「今度の休みは押し掛けよう」
楽しそうに笑うお母さんと嫌がる一護を想像して、私は心の中で手を合わせた。
[←] [→]