「…うん、今日も休むね。まだ熱っぽくて…うん、ありがとう。また学校でね。ばいばい」


携帯を耳から離し、通話を切る。ふぅと息を吐いてベッドに横になった。流している曲を口ずさむ。


あの日以来、私は学校を休んでいた。まだ死神の力を完全に操れない私が隣街に行くのは駄目だと反対されたからだ。特に一護。彼は断固反対していた。


心配性なんだから、全く。


だけどそれが嬉しいだなんて死んでも言わない。


「…顔がニヤけてるぞ」


狼焔の声に私は起き上がり、頬に両手を添えた。


「ったく…なまえ、この状態が分かってるのか?」


「わ、分かってる」


「いくらアイツが好きでもなぁ、今は桐生の攻撃に備えてないと」


「べべべ別に一護なんて好きじゃない!」


「誰も一護なんて言ってねーだろ」


「うっ」


ボッと顔が一気に赤くなる。そんな私を狼焔は呆れながら見ていた。


「…そうだ、さっき一護の親父さんが来たぞ」


「一心さんが?」


「あぁ、チャイムを何度か鳴らして帰っていった」


チャイムなんて全く聞こえなかった。それもそうか。曲を流していたんだから。


「どうしたんだろ」


「なんか困ってる風だった」


「そう…」


顎に手を添えてしばし考える。よしっ、と口を開いて立ち上がった。


「ちょっと行ってみようか」


「そうだな」


携帯と小銭入れをポケットに入れて私達は部屋を出た。




*****




「これを一護に?」


黒崎クリニックに足を運ぶと、私を見かけた一心さんが飛び掛かってきたのでとりあえず足蹴にして阻止した。


話を聞くと、どうやらこのお弁当を一護に届けてほしいみたいだ。


「あぁ、悪いがお願いしていいか?遊子がせっかく作った弁当をあの愚息は…」


「あはは…というか、よく私が部屋にいるって分かりましたね」


「風子ちゃんに聞いた」


あぁ、なるほど。


本当に風邪で休んでるわけではないから、何か頼み事があったら私にって言ったのだろう。


「分かりました。行ってきます」


「おぉ!さすがは将来の娘!」


「あ、ははー」


一心さんの言葉に私は苦笑いを浮かべ、外に出た。


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