どさりという音と共に、なまえの身体は地面に倒れこんだ。
「なまえっ」
「なまえちゃんっ」
その顔は青白く、生気がなかった。
「あーあ、気絶しちゃった」
「てめえ…」
斬月をコイツに向ける。しかし桐生は何とも思わないのか、ただ笑っていた。
「そんなに怒らないでよ、黒崎一護。もう僕の用は済んだ。帰らせてもらうよ」
夜一さんによって掴まれていたはずなのに、桐生の身体はいつの間にか宙に浮いていた。
「また、会いに来るよ。なまえを貰いに、ね…」
「待てっ!!!」
しかし桐生はその姿を消した。高らかに笑う声と共に。
「浦原さん、アイツはなんなんだよ!!!なんでなまえが狙われてんだ!!!」
「それは…」
「その説明は私がするわ、一護」
聞き慣れた声に振り返ると、そこには風子さん(隣には浦原さんちのガキとおっさんがいた)が立っていた。
「お久しぶりです、喜助さん、夜一さん」
「お久しぶりです、風子さん」
「暫く見ない間に大きくなりおって」
浦原さんと夜一さんに一言二言交わして、なまえに歩み寄る。
「…狼焔、出ておいで」
彼女がなまえに触れた瞬間、なまえの隣には赤い髪をした男が現れた。
「風子…ごめん、俺っ」
「狼焔のせいじゃないよ。いずれはこうなると思ってた」
狼焔と呼ばれた男の頭を撫でる。
………ん?狼焔って確か…。
「なまえの斬魄刀ではないか!」
俺より先にルキアが声を上げた。
「具象化!!?まさかそんな…なまえは気絶しておるし、この者にそんな力など…」
「狼焔よ。彼はなまえと一つでも別々でもある。彼は好きな時に好きなだけ具象化出来るの」
「しかし…」
「それを話すには、ここは相応しくない」
もう、何が何だか分からない。チャドや石田を見ても、俺と同じように怪訝な顔をしていた。
「喜助さん、貴方のお店に行ってもいいかしら?」
「勿論っス」
「じゃあ、行きましょう」
チャドがなまえを横抱きにし、俺達は浦原商店へ向かったのだった。
END
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