思えば、ただ色々なことが積み重なっただけなのかもしれないし、もしかしたら、大したことじゃないのかもしれない。
ただ、タイミングが悪かったのだ。いや、タイミングが良かったのかもしれない。こうして諦めることが出来たのだから。
多分、些細なことだったのだろう。しかし、それらは浄化されているようで、されていなかった。残って、少しずつ蓄積されていったのだ。
そして、ついに限界がきた。
私の翼は真っ黒に染まった。真っ黒な翼はひねくれた私にはぴったりだ。
もう、この世に思い残すことは何もない。
屋上から見る月は美しい。偽物の光は眩しすぎず心地よい。
興奮し火照った頬を柔らかな風がそっと撫でる。
真っ暗な闇に向かって翼をはためかせた。
私を祝福するのは、二種類のサイレンだけ。