今日は悠人と一緒に映画を見に来ていた。好きな小説が原作だったので二人とも楽しみにしており、さらにとても満足できる内容だった。その後はウィンドウショッピングをする予定だったが、二人ともじっくり語り合いたい気分になったので、急遽某コーヒーショップで語り合うことになった。私はカフェモカ、悠人はエスプレッソを頼んで、お気に入りの窓際の席。

「でさ、あのシーンの……わぁ!!」

何気なく外を見ると雪が。

「わぁ……雪だ!!」

風に煽られてるからか分からないが下からも舞い上がり、まるでスノードームの中にいるようだった。
テンションの上がる私に対して悠人は冷静だった。

「そんなに驚くことかな?」

「だってこの辺じゃあんまり雪降らないもん!」

そう言うと、悠人は確かに、と納得したようだった。

「俺の地元は割と雪降ってたからなぁ」

「いいなぁ。こっちじゃあんまり降らないし、積もるなんてほとんどないしね。そういえば、学校の授業中とかに雪が降り出したら、みんな授業一回止まって雪だってざわついてたなぁ」

懐かしいことを思い出し微笑む。受験前だったりしても、雪が降れば皆窓のほうを見ていたものだ。

「雪かきなんて信じられないでしょ」

「信じられないねー。たまには、それぐらい積もってほしいな。雪だるまとか雪合戦とかしたくなるもん」

悠人はエスプレッソを飲んで言った。

「今度、俺の地元に遊びに……と思ったけど、特に何もないなぁ」
そう言って苦笑する。

「冬休みにスキーとかに行こうか。まぁめちゃくちゃ上手いわけではないけど、教えられるぐらいは出来るよ」

ほんのちょっとだけ寂しそうに笑う悠人に私はぶんぶんと頭を振る。

「ううん。悠人の地元に遊びに行きたいな。そして、スキーに行こうよ!」

「でもこの辺とあんまり変わらないよ」

「そんなこと言ったらここが私の地元だけど、特別なものなんてないよ。それに、悠人が過ごした所、見てみたいし」

そういうと悠人は少しきょとんとしていたが、突然笑い出した。

「そうか。うん、そうだね。行こうか」

「うん!絶対だよ!」

ベタに小指を出すと悠人は、はいはいと言いながらも笑顔で小指を出してくれた。


「あ、帰りはイルミネーションを見て帰ろうね」

カップを捨てながら言うと、はいはいと手を握ってくれた。
雪はもう止んでしまったし、積もりもしなかったけど、あんまり残念な気持ちにはならなかった。早く冬休みになればいいのに。そう思って繋がった手を軽く振った。



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -