「本当に昨日はありがとうね」

今は二人で買い物中。悠人が新しくサイフを買いたいと言うので付き合っている。

「いいよ、風邪引いたら遥南可愛くなるって分かったし」

「なっ!!何言ってんの!!」

あーあ、風邪引いてる遥南は素直だったのに、とにやにやしながら言う悠人の肩を殴る。

「悠人だって、看病してるとき割とベタなことしてたくせに。いつもとキャラ違ってたよ」

「そう?意外と素かもよ?それに遥南がベタなの好きかなと思ったんだけど」

「だったら一番ベタな台詞言ってないじゃない『キスして俺に風邪うつせよ』ってやつ」

言っている途中で恥ずかしくなってきた。あー、顔が暑い。完璧に自滅した。

「えー……うつりたくないからそれはやだなー」


……なんて理由だコノヤロー


「ちょ、そんな目で見るなよ。ちょっとは冗談だって」

睨んでいる私に気づいたらしい。ってか、それでもちょっとはってどういうことだ。フォローになってないぞ。

まぁ私の風邪をうつしてしまうのも申し訳ないし構わないけどさ……。

「ごめんって、落ち込むなよ」
「気にしてないってば。もう止めよ、恥ずかしいし、何か別の話題」

悠人は私の様子を見てため息をついた。

「……だって風邪はもらえないでしょ。俺まで風邪引いたら誰が遥南を看病すんの」

「え……」

「それでも、本当に遥南が辛そうだったら、ちゃんと貰ってやるから」

……だから何で突然そんなこと言ってくれるのかなぁ。顔キモいよ、とか言われるけど無視。だって無理、耐えられない。頬が緩みきっちゃうもん。

二人で買い物の途中なのも忘れて腕に抱きついた。

「私も悠人の風邪貰ってあげるからね」

はいはい、とか適当に流されたけど、今日は気にしない。若干耳が赤くなってるのに、自分では気づいてないみたいだからね。


◇◆◇◆◇◆◇◆
4月9日改訂。


実は今回の話で一番書きたかった台詞はここにあります(笑)

「風邪は貰いたくないけど、本当に辛そうだったら貰ってやるから」

はい、この台詞お気に入りです(笑)これを言わせたくて、風邪っぴきを書きました(笑)しょうがなさそうに言っても大切にしてるのが滲み出てますよね。安心しろ、を最後に入れるかを悩みましたが、悠人くんなら言わないかな。

さらに裏設定で、普段は遥南の友達が少し苦手なんだけど(騒がしいタイプの女子)遥南がいないに気づいて、その友達に聞く。

で、友達も、悠人が自分のこと苦手なの知ってるから、遥南愛されてるなぁってにやにやして後日このネタで遥南をからかう。 それを聞いて遥南も撃沈、みたいな

このネタも割とお気に入りです
ちなみに、本編のほうでメールに付け加えたのは、でも来てくれたら嬉しい。みたいなニュアンスです

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