《全校生徒は今すぐ体育館に集まるように
5分過ぎても校舎にいる者は咬み殺すから》


プツ、と切れた放送と共に全校生徒は一度に体育館に向かって走っていく

数分すれば静寂に包まれていた体育館は全校生徒で埋まり騒がしくなる



「何なんだろうねぇ〜」


「さぁな」


「ヒバリ、怒ってたっぽいのな。もしかしてスクアーロのあれじゃね?」


「制裁だろ!」



《そこの集団、馬鹿なこと言わないでくれる?》


「ヒバリ!」


体育館に響き渡る声に全員が口を閉ざし、静かになった
舞台上には雲雀の隣にスクアーロと綱吉、持田にルッスーリアが立っている
初見の人物や一見関連の無さそうな人物、卒業したはずの生徒を見て再び騒ぎ始めたり野次を飛ばしたりしている


「10代目、そんな奴の近くにいると危ないですよ!」

「そうだぜ、スクアーロは朱里を「黙って、山本」……っ」


「これ以上、スクを罵らないで。オレの大好きな彼女を悪く言わないで」


「はぁ!?そいつは男だろ!」


「俺は正真正銘の女だ!だったら、見せてやるよ」


スクアーロは着ていたスーツを脱いでシャツのボタンを外していくとサラシに巻かれたものの膨らみが現れた


そう、決して男性には無いはずのものが──


「おい、そこの女が何てお前らに言ったんだ?」


「それは、スクアーロに襲われ、て……あれ……?」


「女性が、女子を襲えるの?」


「そんなのレズじゃない限り無理じゃない?」


「だよな。それに、さっき沢田が彼女って言ってなかったか?」


「じゃあ、無理じゃない!」


「騙してたのかよ、お前!」


「ごめんなさい、スクアーロ先生!」


「悪かった……」


「やっと矛盾に気づくなんてね。まぁ、その女を罵るだけじゃないだけいいか……」


「でも、スクアーロと持田先輩が何で一緒にいるんだ?」


「そういや……。10代目も何であいつやヒバリと関わりが?」


「あぁ、それは……って来たな」


持田が何か言おうとしたが体育館の玄関に立ち込めた霧を見て言葉を止めた


「ザイニンハドコダ」


「ヴィ、ヴィンディチェ……!!」


「随分と遅かったな
罪人はそこの女だ」


「ワカッタ。ワレワレノロウゴクニツレテイクゾ」


「え……いや、いやぁぁぁあぁぁ!!何でぇ!何で朱里が連れていかれなきゃなんないのよぉ!!」


「おいおい、忘れたとか言うなよ?お前の家、麻薬の所持と人身販売、違法物品の垂れ流しくらいやってるの、ちゃんと俺の耳に入ってんだぜ?」


「なっ……!!」


知らないはずの人物に自分の家の所業を知られて朱里は絶句した
復讐者は構わずに朱里を引き摺って連れていった


「おっと、話が途中になってたな。俺は復讐者のお得意様の裏社会専門の情報屋なんだよ
ちょっくら情報を操作して普通の一般人としてここに通ってたんだけどな」


「全く……不愉快な幼馴染みを持ったものだよ」


「えっ、オレも!?」


「綱吉は別。剣介限定」


「ひでぇ!」


「ちなみにオレと雲雀さん、剣介のお兄ちゃんは幼馴染みなんだよ
それと、スクとは剣介のお兄ちゃんのおかげで関わりがあるから、自然とリアのお姉さんとも仲がいいってわけ」


「そういうことよぉ〜♪
あ、そうだわ。ボンゴレからの伝言を伝えてあげるわぁ〜
雲の守護者を除く守護者は今後一切ボンゴレ]世と関わりを持たないこと、ですって!」


ルッスーリアによる伝言の内容に獄寺達の顔は段々と青ざめていく


「だからこれ以上、綱吉に近づくなぁ!」


「自業自得だよね
綱吉の忠告を無視したんだから」


「俺もイタリアに戻ることにすっかな……仕事、溜まってるだろうし
そうそう、綱吉とスクアーロに近づいても俺には分かるからな。隠れても無駄だ」


「さぁ、スクちゃんもイタリアに戻りましょう!つーくんは後で奈々さんといらっしゃいねぇ〜」


「うんっ!」


「先に行って、ご馳走作っておくからなぁ!」


「駄目よ、スクちゃんは今回、お祝いされる側なんだから!私が腕を奮うわ」


「お、おう……」


「剣ちゃんも一緒にお祝いしてあげるからヴァリアーに寄って頂戴ね!」


「りょうかーい」


手を軽く振って答える持田の元に綱吉が小走りで駆け寄っていく


「雲雀さんも剣介のお兄ちゃんも、オレと一緒に行きませんか?」


「「いい(よ/ぜ)」」


「ちょっと、ハモらないでくれる?」


「お前こそハモるなよ。それにお前、卒業はしねぇんだろ?」


「あれは綱吉がいれば、の話だ。いなかったらいる意味は無いよ」


「……素直じゃねぇな」


「咬み殺されたいの?」


「嫌だね」


「喧嘩しないで!」


「「……はい」」


「スクー!」


「ん?」


「大好きっ!!」



「〜〜っ!ば、馬鹿!こんなところで言うんじゃねぇ!!」


「えへへ。誕生日、おめでとう!」


「……あぁ」


綱吉の笑顔につられてスクアーロの顔にも笑みが浮かんでいた





(お前の笑顔が好きだから)
(大切なお前の友人との決別はさせたくなかったんだ)


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