「ワォ……元旦はやっぱり多いね。咬み殺したい」


『ダメだってばー!ん?ねぇ、あれ何?』


アリスの指差した先にはたくさんの紙が結びつけられた縄
雲雀は目を向けてあぁ、と頷いてから説明を始めた


「あれはみくじ掛って言って、引いた後の神籤をあれに結ぶ習慣があるんだよ。「結ぶ」っていうのは神様との「縁を結ぶ」として結びつけられるんだ
あれみたいに木に結んでるのもあるけどあれは木の生育が悪くなるから、あんな感じで参拝者が神籤を結ぶための専用のみくじ掛があるんだよ」


『……つまり、御神籤を引いたらあそこに結ぶってこと?』


「そういうこと。難しかった?」


『少しだけ。やっぱり日本人って難しいねぇ……』


「そんなものだよ。さぁ、御神籤を引こうか」


アリスの手を引いて御神籤の場所へと向かう


「ひ、雲雀さん……!」


「やぁ。神籤、2回分ね」


少し顔をひきつらせる巫女の女性をよそに神籤代を出してみくじ筒を二人は受けとるとアリスは再び首を傾げる



「これを振ると穴の中からみくじ棒が出てくるから、その番号をこの巫女に言うんだよ。こんな感じ
あ、1番だ」


一度やってみせる雲雀にアリスは顔を輝かせる


『わぁ!やってみる!!』


じゃらじゃらとアリスが数回みくじ筒を振ってから逆さまにするとみくじ棒が出てくる



『えっと……あ、49番!』


「はい。1番と49番になります。よう御詣りです」


番号を伝えて巫女の女性にもらった二つ折りにされた神を受け取った



『御神籤って確か、大吉と小吉、末吉にツナキチ、半吉に凶まであるんだっけ』


「ツナキチ!?」


『え、無いの!?みっちゃんの子供がそんな名前って言ってたんだけど』


「あぁ…沢田綱吉か
……で、結果はどう?」


『ツナヨシなんだ。結果は……大吉、でいいんだよね?』


「ワォ、新年早々いいね。で僕は……」


御神籤を開いて雲雀は目を見開いたあとに硬直した


『きょーやー!戻ってこーい!!』


アリスが雲雀の肩を前後に揺らすとしばらくして我に戻った雲雀は少し表情が暗くなっていた


「……。咬み殺したい、本当に
何で新年早々こんなに気落ちしなきゃなんないわけ!」


『?うわぁ……凶だぁ』

項垂れる雲雀の頭を撫でるアリス
そのまま数分経過してから雲雀は内容を確認していく


『私は、ねぇねぇ!恋愛運は今年急上昇だって!
身の回りの整理整頓をすると気持ちの整理もできるでしょう……。待ち人来たり、だって』


「よかったね……。僕はもう見る気も失せてきたよ

で、何々……苛々することが多くなりそうで、少しずつ消化していくこと。恋愛は少し奥手になりがちの為に少し積極的に接しましょう……飽きられないように
なんか、うん……みくじ掛に結ぼうか」


雲雀は御神籤を折り畳み左手に持ってみくじ掛の前に立った
そこですでに結び終えたアリスはふと浮かんだ疑問を投げ掛ける


『あれ?恭弥の利き手って右じゃなかった?』


「右手だよ。「凶の御神籤を利き腕と反対の手で結べば、困難な行いを達成をしたことになって、凶が吉に転じる」って言われてるからね
少しでも運を上げたいし」


左手で辛うじてみくじ掛に括り付けてから賽銭箱の前に向かう




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