キャバッローネファミリー

「……どこだ、ここ」


「夢でも見てんですかね、ボス」


「何か気味悪いですね」


深い森の奥深くで口々に言い合うのは


──キャバッローネファミリー


「この森はどこなんだよ、一体……ん?墓場か……?」


「クスクス……メイド、お客様だよ」

「クスクス……召使、侵入者だよ」


「「殺して食べちゃおうか」」


「「「!?」」」


よく似た顔の双子が歪んだ笑みを浮かべて墓場の前に立っていた


「駄目だよ、Sarvants」


「あ、原罪だ!」

「あ、恭弥様だ」



キャバッローネのボス、ディーノの背後から聞こえた声に双子は歓喜し、名前を呼んだ
その名前はディーノにとってはよく知った名前でゆっくりと振り返った


「──!?」


「雲のガキじゃねぇか…」


「恭弥……っ」


「あれ?この人達、原罪の知り合い?」

「あれ?こいつら、恭弥様の敵?」


「僕の言葉を信じなかった馬鹿な奴等さ
彼女から話は聞いているだろう?その一部だよ
Sarvants、こいつらは彼に裁かれる。この意味が分かるね?」


「ちぇ……食べちゃだめなのね」

「ちぇ……殺しちゃだめなんだ」


「「つまんない」」


「我慢してよ。彼が終われば次は君達だ

思う存分、晩餐会で食べてくれたらいい」


「また来てよね、原罪」

「また来いよな、恭弥様」


双子はそれだけ言い残すと墓場の奥へと歩き出した


「……さぁ、このまま行きなよ。幸か不幸か、彼の司法──映画館に踏み込めばいい」


口角を上げた雲雀から逃げるようにディーノ達は墓場の近くを抜ける

──背後で先程の双子と同じような歪んだ笑みを浮かべていることに気付かずに……




(さぁ、踏み込め)
(被告人は重罪者)
(何人たりとも、彼の聖域という名の司法には敵わないんだから)




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