「一番罪が重いのはお前たちだ……
あの方々を傷つけたのだから」


「あの方?もしかして、ディーノに近づいたあの泥棒猫?人聞きが悪いじゃない
私はあの泥棒猫に教えてやったのよ、身の程を弁えなさい、って
それを傷つけた、だなんて酷い言われようね」


鎖が巻き付いた黒の拘束服を纏いながら和奏は口を開くと反応したのはミリアス。隣にはディーノが守るように立っている


「(ミリアスの奴、何を言ってんだ……?)」


「……いつ見ても貴様らは変わらないな、ユーラス=ディベートと初代キャバッローネ。まるであの繰り返しだ……貴様らの言葉には反吐が出る……」


「私のご先祖を知っているなんて、貴方何者」


「俺は……アラウディ様に救われたただの×だ
クレア様……許可を」


《あぁ、好きに暴れてお前の救世主(メシア)の元に戻ってやれ》


「御意……」


巻き付いた鎖が粉々に砕かれ和奏の拘束が解かれた。目隠しを外して現れた紅く光る瞳が二人を捉える。足を動かせば繋がった足枷がジャラ、と鳴る
目を閉じて闇に光る月を見上げて和奏は思い返すように言葉を紡いだ


「ユーラス=ディベートを殺めた頃以来だ……この姿で外の世界を見るのは。解くのがその子供を殺すことになるなぞ、皮肉な話だが……」


「ご先祖を殺めたなんてそんな馬鹿なことあるわけないでしょう!」


「黙れ、泥棒……。貴様の我が儘により、恭様は幸せを失った……泥棒は貴様だ」


「なっ……!?私は教えたのよ!高々、10年しか生きていない子供がディーノの側にいるなんて甚だしい考えを持たないで、ってね。ディーノの側にいるのが、ただの成り上がりでしかない、雲の守護者だなんて許せない!」


「……遺言は、それだけか」


「!!」


目の前にいたはずの和奏の声が背後から聞こえ、ミリアスは振り返ったその時



ザシュッ!!


ゴトッ……


「────っ、!?」


「目を逸らすか……キャバッローネ、貴様の罪だ……」


手に持った血の滴る日本刀を構えてディーノの頭を踏みつけながら和奏は見下す


「…恭弥は…、リアを傷つけて……!」


「まだ言うか。……恭様は、貴様を忘れようとこの8年葛藤していたのも知らずに……!」


和奏はそこまで言うと日本刀を振り上げたあとディーノの体を八つ裂きにした
肉片と血溜まりの中で和奏は一筋の涙を流した


「……アラウディ様や恭様は優しい……その心にすら気づかぬ者が、側に控えるな……」



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