「こんにちは、炎真」


「ぇ……もしかして、恭……さん?」


炎真は目の前に立つ黒髪の女性に目を見開いて確認した


「うん」


「……凄く、綺麗……」


「えへへ……ありがとう。アーデル達、いる?」


「あ、うん!みんないるよ」


「君がコザァートの子孫かい?」


「え?あ、そうですけど……もしかして、貴方がアラウディ、さん……?」


「うん。ねぇ、コザァートの手記があるって聞いたけど、見せてもらっていいかい?」


「もちろんです!あと、僕達が調べていることの予想に答えてもらってもいいですか……?」


「いいよ。それで僕達の無実が証明されるならね」


「どうぞ、入って!」


















「いきなり場所が変わっていて驚いたよ」


「ボンゴレから少しでも離れたかったんだ。もう、ボンゴレに協力しないってみんなと相談して決めたから」


「そうなんだ……」


「アラウディさん……これが、シモン=コザァートの遺した手記です」


炎真が引き出しから日記を差し出すとアラウディは無言でそれを受け取り開き、読み始めた


「恭ちゅわーん!!」


「ジュリー、久しぶり」


「ほんとほんと。僕チンずっと会いたかったんだってー。しかも知らないうちにこんなに綺麗になっちゃってさー!」


「離れなさい、ジュリー。恭、よく耐えたわね
その様子だと、最悪の事態は免れたってところかしら」


「うん。それで……その、今はアラウと付き合って……ます」


顔を赤らめながら雲雀は告げるとジュリーと紅葉、炎真は石化しアーデルとしとぴっちゃんは雲雀を抱き締めた
らうじと馨は何となく察していたのか表情に変化は見られなかった


「「おめでとう!」」


「心から祝福するわ、恭」


「恋人同士ってことはそのうち結婚もするんでショ?その時は呼んで」


「苦しいよ……、アーデル、しとぴっちゃん……!」


「けけけ、結局!恭は誰かに取られるのか!?」


「俺の恭ちゃんが……!」


「初恋は叶わないって聞いたことあったけど……本当になるなんて……」


「諦めなさい。恭が決めたのだから
それに、こんなに幸せそうな恭は初めて見たわ」


「……うん、確かにこれは貴重な証拠になり得るね」


ガヤガヤと騒ぎ立てる中でアラウディは日記を閉じて口を開いた


「ここに書いてあるのは本当のことだ。確かに僕とキャバッローネは恋人関係で、シモンやジョット、キャバッローネとユーラスは幼馴染み。僕はユーラスを傷つけた大罪人として追放された
でも、それはユーラスの策略。ユーラスのでっち上げた嘘に過ぎない
もちろんそれに騙されたボンゴレは僕を監禁して日々暴力を奮った。キャバッローネとの恋人関係も白紙に戻されて彼はそのままユーラスと結婚して生涯を終えた」


「では、恭も同じように……」


「そうだろうね。やはり血は争えないらしい
ボンゴレやシモン、キャバッローネにディベート……立ち位置が全く同じだ。コザァートは僕に必ず無実を証明すると言った
だけど……ディベートの策略でコザァートはボンゴレやキャバッローネに──殺されたらしい」


「「「!!」」」


「おそらく、自分の仕打ちが洩れるのを恐れたんだろう
それを予想してコザァートはこの日記を遺した」


「そんな……!」


「結局、初代シモンが亡くなったのは、ユーラス=ディベートというわけか!?」


「そうさ。それも知らずにユーラスの思うがままにボンゴレやキャバッローネは次々とユーラスの傷害を壊していった」


アラウディから告げられた事実にシモンは絶句した
雲雀も例外では無く、悲痛そうにアラウディの言葉に耳を傾けていた


「アラウ……」


「恭が悲しむことは無い
クレアの奴がコザァートも転生させようとしたらしいけれど、本人が拒んだらしい
──自分じゃ意味がない。子供達に託す、とね」


「ありがとうございました、アラウディさん
やっぱり僕達はボンゴレから離反します。堕ちるなら堕ちればいい……」


「それがいい判断だ。恭、いい友人を持ったね」


「うん!」


雲雀は満面の笑みを浮かべるとアラウディは微笑んだ




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