【炎真視点】


「炎真、起きなさい!!」


「ん……、どうしたの……アーデル」


「恭から手紙が届いたのよ!」


「!見せて!」


アーデルに朝早くに起こされてからの会話がそれだった
恭さんからの手紙を受け取って文章を読み上げる



「炎真やシモンファミリーのみんなに


僕はアラウディにボンゴレから連れ出してもらったよ
アラウディは転生、したらしくて僕達の時代にいるみたい。今はクレアトーレという人の元に居候させてもらい、アラウディと一緒にいるよ。無事だから、心配しないで

また、時間ができれば遊びに行くね


─雲雀恭─」



「よかった……無事なのね、恭」


「結局、僕達が逃がさなくともよかったというわけか」


「でも、僕達が逃がしたら足跡が付くから、よかったんじゃないかな」


「俺もそう思う。だが、ボンゴレは必死に探している理由に些か疑問が浮かぶ」


「恭ちゃんを嫌ってんならそのまま放置すりゃいーのにさ
恭ちゃん、早く会いにきてくんねーかなー!」


「集めた情報の欠けたピースをアラウディって人が持ってるかもしれない」


しとぴっちゃんが幾つかのフロッピーディスクを手に持っている
今までに僕達が集めた資料。キャバッローネにも過去の手記などは無かった
シモンに代々伝わるコザァートの日記……これに、アラウディさんや関係の拗れについてのことが書かれていた


「うん……。今回のことはあまりにも酷似し過ぎてる。もし、この裏側に何かあったら……僕はツナ君達を許さない」


「えぇ。それどころか私達の予想が当たっているなら、マフィアの風上にも置けないわ」


「……本当だよ。マフィアじゃなくても、仲間は大切にするものだと言ったのはツナ君だ
予想が外れて欲しいと思っていた。でも……っ、恭さんにあんな酷い事をするなんて……!!もう、ツナ君を信じることが出来ないよ……」


「女性にとっては一生忘れられない出来事ね
もしあれで、事故とか起こってしまったら……」


「それこそ、自殺するんじゃねーの、恭ちゃんって意外と脆いしさ」


アーデルの言葉を引き継ぐようにジュリーが真剣な顔で言った言葉
それだけは避けたいことだった


″望みもしない子供を孕んでしまうこと″だけは



「返事を書いてあげなさい、炎真。それだけでも支えになるわ」


「うん。色々聞きたいこともあるからね」


ボンゴレの監視を気にして動けなかった分、聞きたいことも山ほどあったけれど、恭さんの傷口を抉らないように取捨選択をして手紙の返事を出した




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