「やっと着いた……」


「大きい……」


目の前に聳え立つ建物に雲雀は感嘆の声を漏らした
扉には燕尾服とメイド服を着た二人の男女が迎える


「お待ちしておりました、恭様」


「恭様のお召し物等はアラウディ様の隣に部屋を確保しましたのでそちらに置いておきました」


「え、あの……」


「彼らは羽音と零弥。敵じゃないから、安心して
羽音…クレアは?」


「自室におられます。恭様と共に来るように言いつけられています
お連れ致しますので、付いてきてください」


「あ、はい……」


雲雀は言われるままに羽音に連れられ屋敷の中を進んでいく


「クレア様、恭様とアラウディ様をお連れ致しました」


「入れ」


中から声が聞こえてから羽音と零弥はドアを開き雲雀とアラウディに中に入るように促す


「よぉ、雲雀恭。こう対面すんのは初めてだな
俺はクレアトーレ。クレアって呼ぶといい、つか呼べ!お前は気に入ってるからな」


「……?」


「あー……いつもこんな性格だから気にしなくていいよ。とりあえずクレアって呼んどけばいいから
ちなみに人間じゃない」


「人間、じゃないの……?」


「まぁな。お前らで言う神様ってヤツだ
好きに転生させたり創ったりするだけだがな。まぁそれは関係ねぇ
しっかし……人間不信だったアラウディがそこまで入れ込むとはな
そう仕向けたのは自分だが、正味こんなに早く発展するとは思わなかったな」


「黙りなよ。話はそれだけ?だったら失礼するよ」


「せっかちな奴だな。そうそう、雲雀恭……まぁ恭、ここはお前の家だ
自由に寛げ、使用人も愉快な奴等ばかりだから直に慣れるだろ
何か希望や質問はあるか?」


「どうして……、そこまでしてくれるの……?」


「簡単に言えば、お前らの未来を見たくなった
これからお前らがどう歩むのかが楽しみなんだよ
その為なら無償の施しは痛くも痒くもねぇ」


「……ありがとう」


微笑んだ雲雀にクレアは微笑み返す
アラウディは雲雀の手を引いてクレアの部屋から出ていった





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