「恭」


「アラウ!」


雲雀とアラウディが出会って数週間。ほぼ毎日会っていたことから二人は少しずつ距離が縮まっていた


「今日は何を知りたい?」


「……あ、あのね……僕、外に出てみたい
アラウと一緒に見てみたいことがいっぱいあるんだ……。花や鳥、風や四季を感じたい」


雲雀の希望にアラウディは少しだけ驚いたがその顔には微笑みが浮かんでいた


「じゃあ、逃げよう
地下なんて恭に似合わないよ。行く宛ならあるから、ここから逃げよう」


「……うん……!あ……でも、牢屋が……」


「大丈夫。クレア、聞こえてるだろう。この牢屋、どうにかしなよ」


《おいおい、命令口調かよ》


「早くしないとボンゴレが来る」


《あー、はいはい。じゃ、離れてろよ。和奏をそっちにやったから》


「げ……恭、牢屋から離れておいて」


「?分かった……」


あからさまに嫌な顔をしてからアラウディは牢屋から一歩下がる
その刹那──



バラッ……


「!なに、これ……」


雲雀はバラバラに崩れ落ちる牢屋の鉄棒から目線を上げると目隠しをした拘束服の青年が立っていた


「クレア様の命令……遂行完了」


「音を立てないのは珍しいね、和奏」


「……命令、だからな。では失礼する」


「僕達も早く行こうか」


「ねぇ……今のって」


「和奏。実力は人間を遥かに越えていてね
今は足技で牢屋をバラバラにしたんだよ」


「凄い……」


「今から行く場所は規格外の奴等ばかりだけどね
じゃ、しっかり掴まってて」


雲雀を横抱きにしてからアラウディは駆け出して地下牢から出ていく

ボンゴレがバラバラに崩れた鉄棒ともぬけの殻と化した牢屋を見つけるのは数分後──




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