退屈な日々の終わり
「父さん…?母さん…?」
僕の誕生日である5月5日……その日に僕の一つ目の生は終わった。誕生日パーティーをしていて帰ってきた僕を迎えたのは笑顔の両親ではなく、虚ろな目をして赤にまみれた両親と知らない男
「まだ子供がいやがったか」
「ヒッ…おじさん、誰……っ」
「お前が知る必要はない。ここでお前は死ぬのだから」
「!や、やだ……」
逃げようとしたら銃声が聞こえて打たれたのだと思った
しかし体に異常はなく、後ろにいた男が倒れたのを見て疑問だった。しかしその疑問は取れてしまう
一つの声によって
「大丈夫か!」
「!や、やだ…」
「おっと、悪いな…。間に合わなかったか……
雲雀恭弥君だな?」
「父さんと、母さんは…、父さん!母さん!」
「彼女たちは眠らせてあげよう。…恭弥君、君の身元はこの沢田家光が預かる」
「父さん……母さん……どうして、どうして……っ」
「君の両親は何も悪くないんだ、運が悪かった……君の両親は知ってはいけないことを知ったから、殺されてしまった
俺は君の父親からもしもの時は君を頼むと聞いていた…助けられなかった俺を怨んでくれていい
君は生きてくれ、それが、君の父親の望みなんだ」
家光さんの言葉は嘘を言っているようには聞こえなかった、まっすぐな目で泣きじゃくる僕を見て包み隠さず話してくれた
「俺にも君くらいの息子がいてな、いつか会わせてやりたいなぁ」
「……家光、さん」
「俺のことは親方様って呼んでくれ。部下はみんなそう呼んでるからな」
「やだ、恥ずかしい」
よほどの親バカなのだろう、顔をだらしなく緩ませては子供の話をする。ドジだが可愛いだの、目に入れても痛くないだの、嫁も可愛いが取られたくないから会わせないぞとか、仕事とプライベートの差がここまで激しい人も珍しいとは思うけれど慣れてしまった
「はぁ…高校に籍を置きながら、中学にも通えだなんて相変わらずムチャクチャでしょ」
バレないとは思うがもしもの為だと変装して紛れるように黒髪に青いカラコンを入れて中学生のフリをしてきたるべき時までは中学と高校両方に通うという不思議な学生生活をしていた
「きょー兄?」
「ん?…ああ、綱吉か…」
「難しい顔してたよ?何か考え事?」
「いや、それほど考え事ってわけじゃないけど、ちょっとね
…退屈だなぁ、って」
「退屈もいいものだと思うけどなぁ。オレは好きだよ、退屈な日常」
笑って答えた綱吉にそう、とだけ返す。退屈な日々は幸せだと言わなかっただけまだいいか
そんな他愛ない話をした翌日に僕の退屈だと言っていた日常が消えたのだ
「だーーるーーまーーさーーんーーがーーこーーろーーんーーだーー」
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