崩壊が始まる三日前


「無事に帰ってきたようで何よりだよ、恭弥君」


「ご心配をおかけして申し訳ありません……9代目」


「全くだぞ、恭弥ぁ……」


「……家光さんまで……」


雲雀は豪華な部屋で申し訳なさそうな表情で9代目と家光の前に立っていた。しばらくしてから9代目は表情を和らげて雲雀の頭に手を乗せた


「無事だったことが何よりだよ。それに私は君ならば大丈夫だと信じていたからね」


「僕は…綱吉の側にいていいんでしょうか……」


「恭弥君?」


「僕は、今までたくさんの人を殺してきました。復讐のため…生きるために、同じ高校生もたくさん殺してきました
そんな汚れた僕が太陽のような綱吉は眩しすぎて……」


「なるほど……。確かに君はたくさん人を殺してきたけれど、綱吉君は関係ないと言うはずだよ
それに彼も、君が人を殺すのに理由があるのも知っているし、墓前に行っているのも知っていたよ」


「綱吉が、知ってるんですか?」


「ああ。ツナは事あるごとにお前を心配しているし、ずっと側にいたいって言ってるからな
あいつも俺に似て頑固になってきたから中々手放さないと思うぞ〜」


顔を緩めながら家光が告げると雲雀は少し戸惑いながらも口を開こうとするが家光によって言葉を続けることができなかった


「でも……「やめだやめ!その話は終わりにするぞ!まだお前には仕事がたんまりあるんだからな」


「次は何の任務ですか」


「お前の標的に近そうな組織を見つけた」


「!! 」


「水無月沙代、という女子生徒は知っているか?」


「父親が並盛のPTA会長でしょ」


「そうだ。その母方の父がマフィアのボスをしているんだが、キャバッローネだけではなく、ボンゴレまでに取り入るようになり始めた」


「というと?」


「リボーンが彼女の銃撃の腕を見る機会があったらしく、気に入ったそうだ
器量などもいいと9代目にボンゴレへの勧誘などの推薦状も送り始めた」


「家光よ、簡潔に告げる方が彼の為だろう」


「……わかりました。その水無月の家だが、お前の【例の事件】の日の数日前から刺客を雇っていたらしい
その刺客はお前の両親を殺した者で間違いないそうだ」


資料を手渡しながら家光は調査結果を雲雀へと報告していく
その資料をパラパラとめくりながら雲雀は報告をしっかりと捉えていくと資料を家光へと返すと9代目の方に一礼をする


「!!……灯台下暗しって、この事を言うんですね。9代目、僕はこのまま日本に帰国します」


「うむ。そうしてもらえると助かるよ
家光、君も同行してくれ。彼女は間違いなく綱吉君に近づいてくるだろう。キャバッローネとも友好関係にあることからあまり事を大事にするわけにもいくまい」


「了解しました。チェデフで彼女の家の身辺調査もしてみます」


「よろしく頼むよ」


「よし、恭弥行くか!ツナも待っていることだしな」


はい、と雲雀は変装の為のウィッグを付けるとスーツを脱いでから素早く学ランを羽織り皆が認知している《雲雀恭弥》へと変わる



ーー仮初めの日常というものが壊れやすいことを知る三日前の話



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