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振り回されて(TOV/ユーリ×エステル)

学パロユリ→エス



 好きです、付き合ってください。
 今まで何度聞いたか知れない告白を、裏庭で丁重に断って、向かうは教室でぼんやりたたずむ桜色。オレに気付いてふわりと笑う。
「あ、ユーリ! 待ってたんです。今日、暇だったりしません?」
「暇だけど、何か用事でもあんのか?」
 はい、と嬉しそうに手を打ったエステルがにこにこと話し出す。心のどこかが、僅かな期待に揺れた。
「実は今日、リタたちとお買い物に行くんです。ユーリも一緒にどうかと思って」
「ふーん。……いいぜ、どうせ暇だしな」
「本当です? よかった」
 それじゃあ行きましょう、と先行くエステルについて教室を出る。視界の端で無防備に揺れる桜色を横目で見て、そっと溜め息を吐く。
 絶対にオレの想いになんて気付いちゃいないエステルは時として残酷だった。以前、オレが他クラスの女子から告白される現場に、運悪く(エステルではなくオレが、だが)居合わせたエステルに、どうして断ったのかと聞かれたことがある。とても可愛い子だったのに、と。気付いているにしろ、いないにしろ、何となくは察するだろうと、好きなやつがいるんだと言ったら、誰です、どんな子なんです、とエメラルド色の瞳をキラキラと輝かせて詰め寄られ、さすがにお前だとは言わなかった、と言うか言えなかったのだが、こういうやつだと説明して暗に告げてみても全く気付いてもらえず、あげく応援される始末。あまつさえ、こうして度々オレを買い物(今回は複数人らしいが、前回は二人きりだった)に誘うのだから、本当に質が悪い。こんなことなら、今日会った女子生徒のように、好きです付き合ってください、とあの時はっきり言っておけば良かった。
「あ、リタ! ユーリ、こっちです!」
「うおっ!?」
 突然エステルが大きな声を上げ、オレの手をとて走り出す。思考の海から突然引き揚げられたオレは、何の心の準備もないままに、暖かく柔らかな温度にさらされる。心臓が壊れそうな程に早鐘を打ち、頭の中が真っ白に染まった。
 崩れたポーカーフェイスを隠すように俯き、心の中で叫ぶ。

 ああもう、勘弁してくれ……!!





「ユーリ、何かかわいそうだね……」
「あいつがはっきり好きだって言わないからよ。鈍感なエステルが気付くわけないじゃない」
「ユーリは妙なところでシャイだからね。しばらくあのままの状態なんじゃないかな?」
「フレンはどうにかしてやらんのじゃな」
「はは、そうしたらパティだって困るだろう?」
「まあの」




ヴェ学のおっさんとジュディスちゃんはどうやら教員枠らしいので不在でしたとさ。

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zatsu。


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