黒子のバスケ | ナノ


140字ログ@

「伊月、手伝え」眉間に皺を寄せた日向が俺に差し出したのは開封済みのポッキー。珍しいなと一本取ると全部食っていいぞと袋ごと押し付けられた。「一本くらい食べたら」最後の一本を形のいい唇に押し当てると渋々口を開ける。しめたと反対側を咥え食み、触れない程度で折った。「ごちそうさま」


「ホースで放水キタコレ」「だから黙れっつってんだろダアホ」口塞ぐぞと凄む日向に、いいよとあっさり言えば思っていた反応と違ったようで翳した掌が怪訝そうに宙を彷徨った。「こうするんだろ」と塞いだ唇は少し荒れていた。惚けた顔が朱に染まってゆく。「次はちゃんと塞いでくれ」殴られた。


届かない本当/月日
伊月はオレにとって唯一無二の親友であるが、気づいた時には"親友"という言葉では収まり切らないほどの感情がオレの中に黒々と渦巻いていた。純粋さが完全に欠落した狂おしくも甘いそれは、きっと欲望の成れの果て。それを決して悟られぬよう、今日もオレはあいつの隣で笑うのだ。


足して割って、ちょうど/月日
「この式のxの値を…」さらさらと横からノートに書き込まれて行く文字を追うのに疲れてちらりと間その外を見れば直ぐに頭を小突かれた。この便利能力者め。謝り最初からと請えば呆れながらも説明してくれる。その最中ぽつりと言った。「俺と日向、足して2で割れたら丁度いいのにね」


花束を抱えて/月日
「どうしたんだよ、それ」宅飲み中、じゃんけんに負け肴の買い足しに行ったはずの伊月が抱えて戻ってきたのは道端の花を摘んで束ねただけの簡素な花束。何故こんなものを持っているのか彼自身覚えていないらしく首を捻る。そして納得したように頷いた。「日向にあげようと思ったんだ」


世界で一つだけの願い事/月日 「伊月」これ、と日向が不貞腐れたように渡してきたのは綺麗にラッピングされたチョコレート。夢にまで見たそれは確かに本物で、嬉しさのあまり少しだけ涙腺が緩んだ。「ありがとう、凄く嬉しい」そう素直な気持ちを告げれば、天邪鬼な彼はうるせえ義理だと顔を真っ赤にして俯いた。


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zatsu。


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