直接のメリット('12柳誕) ばたばたと後ろから誰かが走ってくる足音と、背中にどんという衝撃。見ると、一つ下の後輩が背中に張り付きこちらを見上げていた。 「柳先輩ー! 誕生日おめでとうございまっす!!」 「ありがとう、赤也」 もふもふとした頭をわしゃわしゃ撫でると、くすぐったそうに笑った。赤也は背中から離れ、俺の正面に来るとまたえへへと笑う。釣られて笑うとやっぱさ、と話し出す。 「メールでも言ったけど、直接言うほうがいいっすね」 「?」 俺は零時ぴったり、一番最初に送られてきたメールも、今直接祝ってくれたことも嬉しかったから赤也がそう言う意味がよくわからなくて首をかしげた。今回ばかりは単純でいつも筒抜けな赤也の思考が読めない。そう言ったら赤也は少し意外そうな顔をしたが、すぐにしてやったりという表情をして俺に抱きついた。胸に頭をぐりぐりと擦り付けるからふわふわの髪の毛が顎や首筋に当たってくすぐったい。 「くすぐったいぞ赤也」 「だって柳先輩にもわかんないことがあるんだなーって思ったら何だか嬉しくなっちゃいまして」 「……俺にだってわからないことはある」 むっとしてそう言えば、先輩可愛いっすとまた頭を擦り付ける。俺はそれが少し恥ずかしくて、話題を元に戻す。 「それで、どうして直接の方が良いんだ?」 赤也は顔を上げて俺を見ると、だってと笑う。 「柳先輩が照れる顔なんてあんま見らんないっしょ」 今度は俺が赤也の髪の毛に頭を埋める番だった。 ----------- 柳さんお誕生日おめでとうございます! あいされんじ!大好き! 20120604 prev / back / next zatsu。 |